エピソード35 ＊ 遭遇 ページ41
「…ん、荷物」
「……」
わずかに目元を潤ませている豪炎寺に荷物を突きつける。
豪炎寺は短くありがとう、とだけ言うと、荷物を受け取った。
さっき、あたしも皆の反対の声を振り切って雷門の元から離れてきた。
そのついでに荷物も持って来ていたのだ。
…まぁ、たまたま円堂と豪炎寺の別れのシーンに立ち会ってしまったのだが。
「円堂、いいやつだね」
「あぁ…俺にはもったいないくらいだ」
「そういうこと言わないの」
いつも通り会話を続けながら歩く。
しかしその空気は、いつもよりもずっと重く、どこか沈んでいた。
奈良シカ公園を抜けたあたりで、その会話は途切れた。
なぜなら…
「豪炎寺修也くん、だね?」
という声が、後ろから聞こえて来たから。
二人してバッと急いで後ろを振り向くと、そこにいたのは…中年のおじさん、だった。
「お、鬼瓦さん…!?」
「…え、誰?」
目を見開いて驚く豪炎寺に、状況が全く掴めないあたし。
呆然とする中、おじさんはニッと笑ってみせた。
「なるほど、刑事さんだったんですね…」
「そう、それで今回の豪炎寺の件を解決するために動いているってわけだ」
お互いのことを説明しあった結果、このなかなか強面の人は鬼瓦さんという刑事さんらしい。
とりあえず、敵じゃなくてよかった。
「それで…だ。ちょっと聞いてもいいか」
「なんでしょう?」
「君…影浦と言ったな、何故ここにいる?」
訝しげな顔をしてあたしを見つめる鬼瓦さん。
…もしかしなくても、疑われてる?
まぁ、刑事として正しいとは思うけど…。
「…影浦は俺がうっかり事情を話してしまったので全部知ってますよ。それに、少なくとも俺は影浦を信用しています」
あたしの一歩前に出てそう言い放った豪炎寺の背中に、少しときめく。
たったの数日間なのに、そんな簡単に信用していいの?とか、言いたいことは山積みだけど…。
今は、その一言が嬉しくて仕方がない…。
鬼瓦さんはしばらく考え込んでいたようだが、結果的にサポーターとしてついて行くことを許可してくれた。
明日朝発の沖縄行きの国内線を手配してくれたらしい…なぜ手回しがこんなにも早いんだか…。
まぁ、今はありがたくそれを使わせてもらおう。
ﾟ+o｡◈｡o+ﾟ+o｡◈｡o+ﾟ+o｡◈｡o+ﾟ+o｡◈｡o+
関連作品ランキング3位入ってました…ありがたや…。
数日更新をサボってしまいましたが、学校でテストが重なっていたのでやむ負えなかったのです…申し訳ない…。
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北星 ベガ(プロフ) - 璃鶴さん» コメントありがとうございます!!すごく嬉しいです、頑張ります!(*^^*) (2017年9月11日 15時) (
レス) id: bad6c4af49 (このIDを非表示/違反報告)
璃鶴 - 面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2017年9月11日 7時) (レス) id: 866aa428c6 (このIDを非表示/違反報告)
北星 ベガ(プロフ) - あいかさん» ありがとうございます笑 (2017年7月24日 11時) (レス) id: bad6c4af49 (このIDを非表示/違反報告)
あいか(プロフ) - 頑張ってください！応援しています！ (2017年7月24日 7時) (レス) id: 70607cf5f4 (このIDを非表示/違反報告)
北星 ベガ(プロフ) - あいかさん» 初めまして! 更新が滞っておりすみません。更新再開に向けて頑張りますので、どうか待っていただけると嬉しいですm(_ _)m (2017年7月16日 13時) (レス) id: bad6c4af49 (このIDを非表示/違反報告)
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