エピソード21 ＊ 出発 ページ24
豪炎寺の隣に立ったあたしは、奈良で財前総理が攫われたという話を聞いていた。
「情報によれば、総理は 謎の集団に連れ去られたという。この謎の集団はエイリア学園と関係があるようだ」
エイリア学園、という言葉が出た瞬間、豪炎寺が大きく目を見開いたのがわかった。
あたしは小さく息を吐くと、手の甲で豪炎寺の腕を弱く叩いた。
ハッとしたように、豪炎寺の雰囲気が元に戻る。
そして、瞳子監督があたし達の前に来て言った。
「出発よ。エイリア学園とすぐに戦うことになるかもしれないわ」
「瞳子監督、円堂くん達を頼む。情報は随時イナズマキャラバンに転送する」
「お願いします」
イナズマキャラバン？とあたしが思っていると、円堂がその疑問をぶつけた。
「イナズマキャラバン？」
響木監督が先行して、あたし達をある扉の前まで連れて行く。
そして、その扉は開いた。
「真っ暗…」
何も見えない空間で、円堂の声が響く。
パンっという音と同時に、そのイナズマキャラバンは姿を現した。
「「「うおぉーっ！！」」」
「あれがイナズマキャラバン。この地下理事長室に繋がる前線基地となるのです」
「うわぁ〜！カッコイイっす！」
「基地かぁ…、あっ」
円堂は何かを見つけたのか、キャラバンに近付いていく。
そこにあったのは、サッカー部と書かれた小さな札だった。
「どうして？」
「ここは言ってみれば新しい部室。だったらこいつは必要だろうが」
ぐっと親指を突き出す響木監督を見て、どんどん円堂の顔が嬉しそうに歪む。
円堂が返事をする前に、ほとんどの部員がキャラバンの方へとなだれ込み、
「「「はいっ！！」」」
と元気に返事をしていた。
そして、イナズマキャラバンの運転手をしてくれるらしい古株さんの紹介が終わり…、響木監督と離れる時がやってきた。
「しっかりな、皆」
「はい、監督」
「お前達ならきっと、エイリア学園に勝てる。俺はそう信じているからな」
「「「はい！」」」
「いくぞ〜、みんなっ！！」
「「「おぉーっ！！」」」
どんどん士気の上がる皆の中であたしと豪炎寺だけが、取り残されているように感じた。
今、豪炎寺は夕香ちゃんの件で心がゆれているし、あたしは復讐のためにこのキャラバンに乗り込むことにした。お互い、エイリア学園のことだけを考えるということは、不可能に近い状態なんだ。
そんな中、瞳子監督は響木さんに頭を下げていた。
…もうすぐ、出発だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
北星 ベガ(プロフ) - 璃鶴さん» コメントありがとうございます!!すごく嬉しいです、頑張ります!(*^^*) (2017年9月11日 15時) (
レス) id: bad6c4af49 (このIDを非表示/違反報告)
璃鶴 - 面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2017年9月11日 7時) (レス) id: 866aa428c6 (このIDを非表示/違反報告)
北星 ベガ(プロフ) - あいかさん» ありがとうございます笑 (2017年7月24日 11時) (レス) id: bad6c4af49 (このIDを非表示/違反報告)
あいか(プロフ) - 頑張ってください！応援しています！ (2017年7月24日 7時) (レス) id: 70607cf5f4 (このIDを非表示/違反報告)
北星 ベガ(プロフ) - あいかさん» 初めまして! 更新が滞っておりすみません。更新再開に向けて頑張りますので、どうか待っていただけると嬉しいですm(_ _)m (2017年7月16日 13時) (レス) id: bad6c4af49 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
