エピソード13 ＊ 写真 ページ16
エレベーターの中で、あたしは一つため息を吐いた。
一瞬豪炎寺修也がこっちを見た気がしたけど、無視した。
エレベーターの扉が開く。
外に出た途端吹いてきた風が、髪を揺らした。
「…あのさ」
「なんだ」
「…さっきはありがとう。言わなくてもいいようにしてくれて」
「気にするな。俺は影浦のことが気になっただけだ」
歩きながら話す。誰もいない中学校は、とても殺風景だった。
さっきから豪炎寺修也は気にするな、と言うが、それだとあたしが納得いかないのだ。
どうにかして借りは返したい。
「その、なんか手伝うことない？」
「え？」
「いや、あたしは家に一回帰って着替えとか準備してくるだけだし…、借りを作っておくのは嫌っていうか…」
しばしの沈黙。
一体どうしたんだろうと豪炎寺修也を見ると、少し驚いたような顔をしていた。
「どうしたの？」
「あ、いや…、試合の時とは全く違うなと思っていた」
「あぁ、なるほど…って、あの時見てたの！？」
あの時、というのは、あたしがフレア・バタフライを打った時のことだ。
まさか円堂以外に見ていた奴がいたなんて…！
「豪炎寺修也、そのことは他言無用でお願いできる…？」
「豪炎寺でいい。別に構わないが、どうしてだ？」
「……それは…」
言うに言えない状況になってしまったあたしを見かねてか、豪炎寺はこう言った。
「さっき、借りを作っておくのは嫌だと言っていたな」
「そうだけど…」
「じゃあ、俺の用事に付き合って欲しいんだ」
いきなりの展開にビックリしながらも、あたしはそれなら別に…、と頷いていた。
「よし、30分後に校門前に集合な。自分の荷物忘れるなよ」
「当たり前でしょ。じゃあ後で」
あたしと豪炎寺は、そのまま別れた。
10分後。
中学校からとても家が近かったあたしは、バッグに着替えとかを詰め込んでいるところだった。
ブラシと髪ゴムも入れて…、ハンドクリームも入れて…、と準備を進め、後はバッグをしめるだけとなったのだが、あたしはバッグもそのままにたちあがり、棚へと歩み寄った。
そこには、幸せそうに微笑む家族の姿があった。
カタン、と音を立て、あたしはその写真立てを手に取った。
彩音と手を繋いで微笑む父さん。
あたしの肩に手を置いて微笑む母さん。
サッカーボール片手に柔らかな笑みを浮かべるお兄ちゃん。
父さんの横で満面の笑みを浮かべる彩音。
家族に囲まれて幸せそうに笑うあたし。
そんな幸せな時間を収めた写真が、あたしの手にはあった。
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北星 ベガ(プロフ) - 璃鶴さん» コメントありがとうございます!!すごく嬉しいです、頑張ります!(*^^*) (2017年9月11日 15時) (
レス) id: bad6c4af49 (このIDを非表示/違反報告)
璃鶴 - 面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2017年9月11日 7時) (レス) id: 866aa428c6 (このIDを非表示/違反報告)
北星 ベガ(プロフ) - あいかさん» ありがとうございます笑 (2017年7月24日 11時) (レス) id: bad6c4af49 (このIDを非表示/違反報告)
あいか(プロフ) - 頑張ってください！応援しています！ (2017年7月24日 7時) (レス) id: 70607cf5f4 (このIDを非表示/違反報告)
北星 ベガ(プロフ) - あいかさん» 初めまして! 更新が滞っておりすみません。更新再開に向けて頑張りますので、どうか待っていただけると嬉しいですm(_ _)m (2017年7月16日 13時) (レス) id: bad6c4af49 (このIDを非表示/違反報告)
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