エピソード12 ＊ 自信と信頼 ページ15
エレベーターのすぐ前に静かに立つ豪炎寺修也は、何処か柔らかな目つきをしていた。
「確か豪炎寺君ね」
「はい」
「豪炎寺、病院に行くんじゃなかったのか？」
「ちょっと、影浦が気になったので」
「あたし…？」
豪炎寺修也は静かに頷くと、此方へと歩いてきた。吉良瞳子がそんな豪炎寺を厳しい目つきで見る。
「何か用かしら、豪炎寺君」
「はい。影浦のことで、ちょっと」
「言ってみなさい。監督は私ですしね。…いいですよね、響さん」
監督は少し悩んだ後、いいだろう、と静かに言い、エレベーターへと歩いて行った。
「さて、話とは何かしら」
「…こいつは何か理由があってキャラバンに乗りたいと思っているというのは、多分間違いないと思います。ですが…」
「ですが、何？」
豪炎寺修也は一瞬あたしの方を見て、また吉良瞳子に向き合った。
まっすぐ相手を見つめるその瞳は、オニキスのような美しい黒だった。
「人には、言いたくない過去の一つや二つはあるものです。監督もそんな過去は持っているはずです」
「………」
「無理矢理言わせるのは得策ではないでしょうし…、俺は、この雷門イレブンに入った以上、裏切るなんてできっこないと思いますが？」
…正直、驚いた。
いくら炎のストライカーなんていう異名があっても、こんなに熱い台詞を吐くだなんて思ってもいなかったから。
「随分自信があるのね」
「いえ、そんなことはないです」
ただ…、と笑った豪炎寺修也は、吉良瞳子を射抜くような視線を送りながらこう言った。
「円堂といて変われない奴なんて…、この世にはいないですから」
「「！！」」
あたしも吉良瞳子も、思わず目を見開いた。
そうか…、こいつの『自信』は、円堂への『信頼』だったんだ。
ストン、と胸にあっさり収まったモノを感じながらも、あたしはある種の嫉妬を感じていた。もういないあの姿に、思いを馳せながら。
「……そこまで言うならば、いいでしょう。ですが、あくまで監督は私です。キャラバンをいつでも下りてもらうことができるということ、忘れないでちょうだい」
「……わかり、ました」
ふぅ、と息を吐いた吉良…監督は、じっと前を見据えて一言言い放った。
「早く行きなさい。準備だっていっぱいあるでしょう」
「はい。…影浦、一緒に行くか？」
「え、あ…うん」
豪炎寺修也に呼ばれたあたしは、豪炎寺修也と共にエレベーターに乗り込んだ。
その時、吉良監督が思いつめたような表情をしていることなんて知らずに…。
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北星 ベガ(プロフ) - 璃鶴さん» コメントありがとうございます!!すごく嬉しいです、頑張ります!(*^^*) (2017年9月11日 15時) (
レス) id: bad6c4af49 (このIDを非表示/違反報告)
璃鶴 - 面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2017年9月11日 7時) (レス) id: 866aa428c6 (このIDを非表示/違反報告)
北星 ベガ(プロフ) - あいかさん» ありがとうございます笑 (2017年7月24日 11時) (レス) id: bad6c4af49 (このIDを非表示/違反報告)
あいか(プロフ) - 頑張ってください！応援しています！ (2017年7月24日 7時) (レス) id: 70607cf5f4 (このIDを非表示/違反報告)
北星 ベガ(プロフ) - あいかさん» 初めまして! 更新が滞っておりすみません。更新再開に向けて頑張りますので、どうか待っていただけると嬉しいですm(_ _)m (2017年7月16日 13時) (レス) id: bad6c4af49 (このIDを非表示/違反報告)
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