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先生、教えて ページ5

「なんかさー、センセーって不思議だよね」

そう言い出したのはリヒトだった。

「どこがだ?」
「さっき、ほら、知らない子連れてたじゃん?傷だらけのさ」
「そういえば」
「でもセンセーにそっくりだったんだよね。センセーが結婚してるとか話聞かないけど……先生の子供だったりするのかな?それとも妹?」

ハイネは必要なものを買いに街に出たのに帰ってきたら知らない子供を連れ帰ってきた。
なんだ、人間でも買ってきたのか?

「でも変な傷だったよね」
「変な傷?リヒト、どういうこと」
「普通に生活してたら傷ができない場所に傷があった。あれは人工的に傷付いたものだと思う」
「人工的……」
「暴力を振るわれていたということか」
「多分ね」

暴力……ブルーノ兄様も軍学校で受けてたこと。そして僕も小さい頃一番最初の王室教師にされていた。

「……」
「そういえばあの子裸足だった」
「裸足?靴を持ってくらいなかったのか兄さん」
「うん。まるで、何かから逃げてきたみたい」
「逃げて……」

あいつがハイネの家族であるのなら、どんな形にせよそこまでする必要があった場所にいたってことだ。
なんでなんだろう……

「ハイネって、何者だろうな?滅多に自分のこと話さないだろ?で、妹みたいなやつがあんな姿でここにいるんだからなおさら気になるけど、考えても分からないし……」
「先生…たまに授業中止するよね…」
「そういえば」
「その日って大抵、謁見がある日だよね」
「!」
「会いたくない人がいるってこと?」
「うーん……」
「あ、王子、こちらにいましたか」

そうすると話題にしていた張本人のハイネがやってきた。
それと、ハイネの後ろにいるのはさっきの子供だ。

「あ、ハイネ」
「最近よく朝食や昼食、夕食のお誘いをしていただいてますよね?すみませんが当分はお断りしてもよろしいでしょうか?」
「それってさ、もしあしてさっき一緒に歩いてた子が理由?」
「えぇ、まぁ」
「お話ししたいしたーい!」
「では後で部屋に来てください。あの子、結構警戒心が強いので」

ハイネが目を逸らした。こいつが目を逸らすなんて早々しないのに。
それになんか……少し様子がおかしい

「ではまた後で」
「お、おいリヒト……」
「センセーの正体の手がかりになるかもよ?」

ハイネの正体。
気になるけど、知ったらいけないような気がしてきた。

邂逅→←交渉



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月宮唄音(プロフ) - 不定期更新です (2021年5月29日 10時) (レス) id: 71411319ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月宮唄音 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年4月9日 1時

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