王宮にて ページ3
なんやかんやあり、王宮の自室。
散らかってはいるがさすがは王宮、2人部屋に入った所で狭さは感じない。
まぁ、妹はそう思ってないみたいですけど……
「汚い」
「これでも片付けた方なんです。陛下に謁見の申し出をしておきました。早く支度しますよ」
「支度……」
さすがにその破れたり汚れたりしている服装で陛下に謁見するなんてことは流石にできない。
とは言っても着替えも何も持たず出てきたらしいのでどうもできない。
「とりあえず傷の手当ですかね」
「……」
侍女の方に頼んで包帯とガーゼを持ってきていただいた。傷の程度はどれも浅いがとても痛むタイプのものだ。痣なんかも酷い。
「キツすぎるとかはありませんか」
「大丈夫」
「そうですか」
お兄ちゃんだと言うのに会話は最小限でどこか他人行儀。でも距離感が分からないのだ。長い間離れ離れだったのだから仕方ない。
「服はどうするの?」
「私の来ているもので良ければ。何着かありますし、嫌でなければ」
「それでいい」
手早く手当を済ませ私の服を着させる。そこらじゅう包帯とガーゼまみれだ。見ていて痛々しい。
服のサイズは丁度いいらしく違和感もない。ワイシャツとベストとズボンの簡単な服装だがさっきよりはマシだ。
ある程度話せばきっと陛下も分かってくれるはず。今できることはやった。あとは説得するだけ。
「もう行くの?」
「陛下も忙しいですから」
そうしてさっさと陛下の執務室に向かう事にした。
14人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月宮唄音(プロフ) - 不定期更新です (2021年5月29日 10時) (レス) id: 71411319ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ