産屋敷輝利哉の婚約者 参 【鬼滅の刃】

初めて見ました・・・５ ページ44

それから鴉に伝えられたものは、断片的に聞けば鬼殺隊が、いや産屋敷家が揺らぐ事実だった。




ただ、それは断片的にだ。

鴉達が伝えてくれたこととAの性格を考えれば答えなんてすぐに出た。









そう、Aが休みを望んだ理由は子育てをするためということだ。


ただ、実子ではなく恐らく拾ってきた子供。







しかも子育て、ではなく正確に伝えてしまえば稽古。

柱の。






そんなに育てたいのであれば断子にすればいいのに、

捨て子を継子にするのは珍しいことでは無いが、柱の稽古を簡単に受けることができる小さな子供を毛嫌いする隊士も居る。それは少数だが全ての隊士を掌握できず迷惑をかけてしまっていることに嫌気がさしてくる。







ただ、そういうところを考慮してだろうか。

本当に、そういうところだけを考慮して・・・・・・







いや違う。









Aが申し出てきた暇は二週間。

二週間で捨て子に、基礎体力、基礎剣術、自分の呼吸、を身に着けさせるのは流石に無理がある。






そんな無謀とも言えることをAが行うはずがない。


ということは、基礎体力と剣術を身に着けさせたら育手に後を託すのだろうか。


いや、きっとそうだ。






そうすることでそれぞれの得意とする呼吸を身に着けさせることができる。

Aの呼吸が、他の誰にも真似できない特別な呼吸であると言うなら尚更に。









なるほど、それで・・・


今まで頑張って下準備をしてきたのだろう。

何日も家に帰ってこなかった。







その記憶が今、鮮明に蘇る。






しかしそれと同時に、輝利哉の苦しんでいた姿も目に映る。









いつまで立っても帰ってこなかったAに、一番不安になっていたのは何を隠そう輝利哉なのだから。








ああ、・・・と溜息をつきながら最後の鴉との会話をゆっくりと思い出す。

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