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櫻井 side
Aはもういない。Aにはもう会えない。その現実が俺の胸に突き刺さる。この世界の色さえ失ってしまったように視界が暗くなった。
そんな俺の気持ちも知らずに、社長はAから預かっていた手紙を声に出して読み上げる。
社長「 “大切なみんなへ” ……、」
櫻井「……。」
“みんながこの手紙の存在を知る頃、私は日本にはいないでしょう。黙って旅立つ事を許して下さい。”
櫻井「……。」
“私は実子ちゃんと共に、社長に手配して頂いたとある国へ旅立ちます。カメラや報道陣に囲まれる事なく、残りの人生をゆっくりと過ごしたいからです。日本にいる限り私は元アイドルであり、普通の女の子としての生活を手に入れる事は出来ませんからね。”
横山「……女の子って歳でもないやろ、」
村上「ほんまや。」
“実子ちゃんはこんな私の余生に付き合ってくれるそうです。これから先、物事を忘れる一方で、身体を動かす事も、喋る事も困難になる私のそばに最後まで連れ添ってくれると。こんなにも素敵な友達が出来たのは、みんなのおかげだと思っています。”
小さな嫉妬をした。桃井実子が良くて、どうして俺たちは駄目なのだと。しかしその理由は明確で、芸能界を引退した桃井実子と、アイドルである俺たち。どちらがAに付き添えるか、考えずとも答えは出ている。
“社長には私の居場所を誰にも教えないでくれと伝えました。だからみんなも、私の居場所を必要以上に探る事はしないでください。”
二宮「……、」
“どうしても、みんなの記憶の中にいる私はアイドルである宇佐美Aでいて欲しい。”
二宮「……っ、」
“みんなを忘れた、自分自身が何者であるかを忘れた、アイドルであった事を忘れた私を見て欲しくない。そんな私に会って欲しくない。”
二宮「そんな事……！」
錦戸「……っ、」
二宮「そん、な……、」
“私のわがままを聞いてくれたら嬉しいな。”
あまりわがままを言わない子だった。そんな彼女が最後になってここぞとばかりのわがままを。そのわがままはあまりに大きく、俺たちで抱えるには容易なものではなかった。
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彩佳(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました、ほんとに、涙出ました... (2023年3月29日 8時) (
レス) @page16 id: 0b4dc78848 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 号泣しました、今の大切さ学びました。 (2021年9月3日 16時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
skomiya0617(プロフ) - 泣きました。ステキなお話ありがとうございます (2020年5月8日 23時) (レス) id: 8e4b334675 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - あまり小説を見て泣かないのですが。泣いた。ただただ泣いた。ホワイトちゃんを愛する赤さんの気持ち。青さんの覚悟。黄色さん始めとする3人の思い。その思いと覚悟が交錯して絡み合って…。泣きました。感動するお話をありがとうございます。 (2020年3月19日 16時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - お話とても感動しました！最後のビデオが見たいのですがパスワードが分かりません(´；ω；｀)教えて頂きたいです (2019年12月24日 1時) (レス) id: 3fdaaf6b07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Rii!
| 作成日時：2017年3月21日 20時
