無自覚な才能 ページ19
ｽﾀｯﾌ「それでは、本番お願いしまーす！」
三「はい！」
みんなが色々抱えた状態での『キミと愛なNight！』の撮影。三月くんが少し思い詰めたみたいな顔しとるの気になるなぁ。
三「『キミと愛なNight！』の時間です！みなさん、どうもこんばんはー！今日はお花見に関する特集ということで、みなさん、お花見に関する思い出は？」
陸「お花見…。お花見ってしたことないです。」
三「え？マジで？」
陸「うん…。」
三「…。」
三月くん…頑張って…。
三「そうなのか。じゃあ、今度行こうよ。どんなお花見したい？」
陸「え？そうだなぁ…。夜桜見てみたいかな。場所取りとかもしてみたい。」
三「あはは！場所取りしたいなんて、変わったやつだなー。」
陸「あはは…。そうかな？」
三「一織、花見の思い出は？」
一「子供の頃、家族で行ったくらいです。」
三「…っ」
なんか、見てて痛々しい…。頑張ってるのに、それが裏目に出て、頑張ることもいけないことなのかと錯覚してしまう。一織くんもあまりよく話す方やないけど、三月くんは話してほしそうやな。
三「そうだな…。どんな花見だったっけ？」
一「兄さん、覚えてないんですか？」
三月くん、真面目やから考えれば考えるほど脳内で自分がダメだって思い込んで、抱えて。三月くんに大切なのは、同業者からの言葉やない。ファンからの言葉。
なら、僕に出来ることは…。
ｽﾀｯﾌ「お疲れ様でしたー。」
ｽﾀｯﾌ「今日、三月くんどうしたんだろう？いつものキレがなかったですよね。」
ﾃﾞｨﾚｸﾀｰ「あの子が乗ってくれないと、他のメンバーも話が弾まないからね。次回は元に戻ってるといいけど。」
制作陣には、三月くんの凄さが伝わっとる。でも、ファンには？三月くんが話すことでみんなが話していることが伝わってない。ファンにも、三月くんにも。彼は当たり前に皆に話を振って、当たり前に話題を引き出してる。本人の無自覚な才能故の、苦しみ。
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作成日時：2023年2月23日 14時
