5年 ページ18
『はぁ。』
番組の企画会議の時も、みんななんやギクシャクしてて…。
TRIGGERと…というか、陸くんと天くんも今の関係値最悪なのにこけら落としおんなしチームやし。
大丈夫なんかなぁ。
万「澪さん。お疲れ様です。」
『万理さん…。お疲れ様です。』
万「どうですか？小鳥遊事務所には慣れました？」
『はい。…というか、万理さんの方が年上ですよね？タメ口で大丈夫ですよ。』
万「そう？じゃあ、遠慮なく。」
『万理さんはいつからここに勤めとるんですか？』
めちゃくちゃ古参っぽいよなぁ。紡ちゃんとも昔からの知り合いっぽいし。
万「…。5年くらい前かな。社長に拾ってもらって。」
『万理さんもなんですね。私も社長のおかげで働けているので…。』
万「前職、なにもついていなかったんだっけ？」
『はい。といっても実家の手伝いはしていたのでお金には困っていなかったのですが、さすがに…。万理さんは？5年前っていうと、大学生です？』
万「あぁ、えっと、大学には行っていなくて。」
『へぇ。それまたなんで？』
万「…音楽を。バンドをやってて。」
『わ、じゃあギターとか弾けるんですか？』
万「今は全然。5年のブランクは偉大です笑」
5年かぁ…。僕も5年なにもせんかったらほんまに何も出来ん人間になってまうか。
『…なんで、やめちゃったか聞いても？』
万「…これです。」
『傷…？』
万「うん。照明が落ちてきて。今は何ともないんだけど、その当時はもう無理だって、そう思ったんだよ。」
『ほんとうに？』
万「え？」
『…すみません。実家柄というか、嘘をついているか否かくらいは分かってしまうんです。』
万理さんほどの人が、この傷で諦めるはずがない。なにか他に事情があったんだろうなぁ。それを聞くのは野暮やけど。
『話さなくてもええですよ。苦しくなったら、吐き出した方がいいというだけで。』
万「ありがとう。話したくなったら、その時はお願いね。」
『ぜひ！』
万理さんほんまに優しいな。にしても額に傷ねぇ。照明って簡単に落ちるもんなん？なぁーんか引っかかるような…。誰かに嵌められた、とか…？そこまで人気やったんか万理さん…まぁこの顔面だしなぁ。
まぁ考えても分からへんな。5年も前のことや。知っとる人の方が少ない。5年、5年かぁ。僕5年前何してた？()
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作成日時：2023年2月23日 14時
