vanish06 ページ29
side 侑李
彼女の口から溢れる謝罪の言葉は一体どれほどの重みがあったのだろう。
彼女の表情に浮かぶその感情は一体どんな形をしているのだろう。
何も知らないまま、のうのうと生きてきた僕にはそれを理解することも出来ないのだろうか。
彼女の痛みを、苦しみを、分かち合うことはきっと出来ない。
それでも僕には出来る事がある。
いや、しなくてはならない事がある。
「……だから、どうしたの？」
「え……？」
Aが切り拓いた未来は、残酷なものだった。
僕には到底理解できないような、そして取り返しのつかないもので。
正しい過去に戻すことが時空管理委員会なら、正しい未来を導いてくれるのは一体誰だ？
こんなこと、僕の立場からじゃ言えないだろうけど。
過去は変えることが出来てしまうのだから。
その為に、僕は何だって捨てることが出来る。
「…僕も同じだよ。Aの居ない未来は本当につまらない。」
「そう言われると、何だか落ち着かないね。」
「Aを責めるつもりはないよ。もし立場が逆だったら僕だって同じことをしていたかもしれないから。」
でも、と少し強めに言うと彼女はそれに反応して肩をビクッと震わせた。
もちろん怒りたい訳ではない。
だけどどうしても腑に落ちない事がある。
「どうして、僕には何も言ってくれなかったの？」
僕の代わりに犠牲になったAには、もう一つの選択肢があったはずだ。
それは、僕に知らせて事故に遭う前に引き留めること。
二人ともあの時間にあの場所に居なければ、事故に遭う事もなかったのに。
「……書き換える、ってとても勇気の要ることなんだね。」
「答えになってないよ。」
「ごめんね。でも私の行動一つで侑李以外の人生も変えちゃうかもしれないって思ったら、怖くなっちゃって……。」
目に溜めていた涙が、頬を伝って流れ落ちた。
彼女の瞳からは止めどなく涙が溢れては伝う。
僕はそれを呆然と見ている事しかできなかった。
「事故を起こした人にも、事故を起こすという人生の一部があるんだから……それが例え悪い方向に働いても、私はそれをうやむやには出来なかった。」
この空間には僕が居て、そしてAが居て。
もう二度とこの瞬間が訪れる事が無いと知っても、それでもこの時間が永遠に続くような気がして。
「……ずっと、このまま時間が止まっちゃえばいいのにね。」
僕の呟きも、口から伝ってそのまま落ちた。
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天凪(プロフ) - 千種さん» こちらこそ遅くなってしまい申し訳ございません…！素敵なご感想ありがとうございます(*^^*)嬉しすぎるメッセージのおかげで元気が出ます♪これからクライマックスまで温かい応援よろしくお願いします(〃'▽'〃) (2017年5月15日 17時) (
レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
千種 - 遅くなってしまいましたが、移行おめでとうございます！大好きすぎるこの作品。いつもドキドキ、ワクワクさせてもらっています(*´▽`*)これからの展開、楽しみにしています！頑張って下さい！ (2017年5月13日 18時) (レス) id: cd7a5815e3 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - NMダイキング担さん» いつも温かい応援ありがとうございます！嬉しすぎるコメントにいつも元気をもらってます(*＾▽＾*)是非是非ラストまでお付き合いください！これからも更新頑張ります！ (2017年5月6日 15時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - 移行おめでとうございます！天凪さんの作品、大好きです！！これからも頑張ってください！ (2017年5月6日 0時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
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