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vanish03 ページ26

「僕を、犠牲……?」


その言葉の意味は分かる。
だけど頭がそれを理解しようとしない。


「未来に、何を見たの?」


僕はAの肩を両手で強く掴んだ。
力を強く入れ過ぎたせいか、彼女は少し顔を歪ませたがその後で僕から目を背けた。
だけど僕もこのまま黙って引き下がるわけにはいかない。



一体、未来に何を見たのか。
それを聞き出すまでは、このままでは終われない。



「A!」


普段は大きな声を出すことはないから、彼女は驚いて肩を震わせる。
それが直に手に伝わって余計に僕は必死になる。



「……。」



黙ったままの彼女を見ると、どうしても後ろめたい何かが秘められているのが分かる。
そしてその理由が僕にあるというのも。



「このままじゃ、僕は引き下がれない。」



自分が時空管理委員会という立場を捨ててまで過去に潜入したんだ。
これは奇跡でも偶然でもない、必然。
誰かが僕に与えてくれた最初で最後のチャンス。



「……本当だ。」


「何が、本当なの?」



うっすらと笑みを浮かべる彼女に僕はふと力を緩めてしまう。
Aはそれを見計らったかのように、するりと僕の手を掻い潜る。




「あなたは、未来から来た侑李なんでしょ?」

「……違う。」


咄嗟に出た嘘は、きっと彼女を守るためという言い訳に過ぎなかった。
だけどAには見透かされていて、彼女はまた笑みを浮かべる。



「違わないよ。私の知ってる侑李は自信家で、ちょっと意地悪だけど優しくて、それからちょっと意地っ張り。でも今のあなたは違う。」

「……違わない、僕は僕だ。それ以外の何者でもないよ。」

「そうだね、侑李は侑李だ。でも私の大好きな侑李はそんなに不安で押しつぶされそうな表情は絶対に見せないよ。」



あぁ、そうなのか。
僕は今、そんな顔をしているのか。


彼女の目を誤魔化すことは、同じ僕でも出来ないのだろう。



「この日が来るのを待ってたよ。久しぶり……だね?」

「……もう、嘘ついても無駄なんだね。」

「ふふ、無駄だね。」



相変わらず窓の外では触れれば一瞬で全てを飲みこんで流してしまいそうな雨が降っていた。
窓に映る僕とAはどこか奇妙で、それでいてとても懐かしかった。


だけど彼女が僕に気付いた以上、僕も彼女に打ち明けなければいけない。

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天凪(プロフ) - 千種さん» こちらこそ遅くなってしまい申し訳ございません…!素敵なご感想ありがとうございます(*^^*)嬉しすぎるメッセージのおかげで元気が出ます♪これからクライマックスまで温かい応援よろしくお願いします(〃'▽'〃) (2017年5月15日 17時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
千種 - 遅くなってしまいましたが、移行おめでとうございます!大好きすぎるこの作品。いつもドキドキ、ワクワクさせてもらっています(*´▽`*)これからの展開、楽しみにしています!頑張って下さい! (2017年5月13日 18時) (レス) id: cd7a5815e3 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - NMダイキング担さん» いつも温かい応援ありがとうございます!嬉しすぎるコメントにいつも元気をもらってます(*^▽^*)是非是非ラストまでお付き合いください!これからも更新頑張ります! (2017年5月6日 15時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - 移行おめでとうございます!天凪さんの作品、大好きです!!これからも頑張ってください! (2017年5月6日 0時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天凪 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年5月5日 23時

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