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interlude02 ページ20

「……知念!」


思いっきり伸ばした手は、またしても空を掴んでいた。
荒くなった呼吸を整えてゆっくりと起き上がる。


まだ暗い夜、朝は来ていないようだ。



「んー、山ちゃん…?」

「どうしたの?」



大声を出してしまったから、二人を起こしてしまったようだ。



「……ごめん、起こしたよね…。」

「珍しいね、怖い夢でも見た?」


裕てぃーは徐に立ち上がって、水を汲んで来てくれる。
ありがとう、と受け取った水ごくりと飲む。


「怖い夢……と言えばそうだね、知念が窓から落ちる夢。」

「災難だね。やっぱり知念のことがあったから夢に見たんじゃない?」



俺の隣のスペースを見て裕てぃーはそっと俺の隣に座る。
いつもなら俺の隣には知念が居るはずだった。
だけど今日は彼の姿はない。



任務が無事に終わって、戻る時に事件は起こった。
知念がふらついたかと思うと、そのまま『紙一重』のせいでどこかの過去に飛ばされたというのだ。
それから監視部にも報告して、ありとあらゆる過去を辿ってもらっているけれど見つからない。


普段は『紙一重』に遭遇しても、過去に異変が起こったと報告が入りすぐに解決できるはずだった。
それなのに夜になっても知念がどこに居るのか見つけられずに今に至る。


流石に監視部もずっと動いている訳にはいかずに今日は一旦中断してまた明日から再開するそうだ。
そんなこともあってか、あんな怖い夢を見てしまったのだろう。



「……知念はもう、戻ってこないのかな。」

「駄目だよ山ちゃん!そんな縁起でもないこと…。」

「ううん、そうじゃなくて……もう帰って来たくないのかなって。」



二人は黙ったまま、何も言わなかった。
夜だから余計に静けさが引き立って、何かを話さないと心が落ち着かなくて。



「……知念は、俺たちのことどう思ってるんだろうね。」

「俺たちは普通に仲間だって思ってるから聞かなかったけど、本当のことは知らないね。」

「でも最近、笑ってくれるようになったよね。」



一つ一つ確認していかないと、分からない。
彼の本心は彼にしか分からない。
だけど知念が今いる『過去』は余程心地よい場所なのだろう。
それももう、ここには……第7隊には戻って来たくないほどに。




「最初は嫌だっただろうね、せっかく実力で勝ち取った監視部の席を追われることになって。」

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天凪(プロフ) - 千種さん» こちらこそ遅くなってしまい申し訳ございません…!素敵なご感想ありがとうございます(*^^*)嬉しすぎるメッセージのおかげで元気が出ます♪これからクライマックスまで温かい応援よろしくお願いします(〃'▽'〃) (2017年5月15日 17時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
千種 - 遅くなってしまいましたが、移行おめでとうございます!大好きすぎるこの作品。いつもドキドキ、ワクワクさせてもらっています(*´▽`*)これからの展開、楽しみにしています!頑張って下さい! (2017年5月13日 18時) (レス) id: cd7a5815e3 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - NMダイキング担さん» いつも温かい応援ありがとうございます!嬉しすぎるコメントにいつも元気をもらってます(*^▽^*)是非是非ラストまでお付き合いください!これからも更新頑張ります! (2017年5月6日 15時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - 移行おめでとうございます!天凪さんの作品、大好きです!!これからも頑張ってください! (2017年5月6日 0時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天凪 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年5月5日 23時

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