crayon07 ページ13
「あなたが過去に介入したのは、あのスケッチブックを取り戻す為ですよね。」
「そう、です…。」
「何の為に?」
僕の問いかけはそんなに難しいものではないはずなのに、彼は頑なに答えようとはしなかった。
人に話せない理由で過去に介入しようものなら、なおさら問題だ。
「あのスケッチブックがあれば、最優秀賞は確実だったから…なんて愚かな理由だったら僕も気が気じゃありませんけど。」
挑発するつもりは無かったけれど、彼は僕の言葉に強く反論した。
「…そんなはずない!」
「……それが聞けて安心しました。こっちです。」
僕は教室の外に歩き出す。
彼も察しが良く、僕の後を付いてくる。
薮宏太は裕てぃーがちゃんと付いているから大丈夫だ。
裕てぃーの位置情報はもう掴めている。
僕は何も言わずに淡々と歩いていくだけ。
そして通路の曲がり角を曲がった先には、裕てぃーとスケッチブックを持ったもう一人のラプラスが立っていた。
「あっ……。」
僕の後ろを付いてきた八乙女光が声を上げた。
その理由も納得は出来る。
これがきっかけで疎遠になった元親友がそこに居るのだから。
「これが僕のお伝えできる全てです。」
後はご自由に、と目配せすると彼は少し躊躇いながらも一歩前に踏み出した。
「……薮、それ。」
声を掛けられた薮宏太は、ハッとしてスケッチブックを差しだした。
裕てぃーはその様子を見て何かを察したのか、その場から離れ僕の傍に来る。
「あの時は守れなくて、ごめん。」
「……あの時?」
「このスケッチブック。」
裕てぃーはその様子を見ながら僕の肩に手を置いた。
「今回は大活躍だったね。」
「まだ終わってないけどね。」
「大丈夫だよ、もう終わる。それにあの二人は……いや、ごめん。何でもない。」
「……らしくないね。」
「光、ごめん。あの時俺がちゃんとしてれば、スケッチブックは破られずに済んだ。」
「え、待って…じゃあスケッチブックは……」
ようやく真相に辿り着いた八乙女光は信じられないと言わんばかりの驚愕の表情をする。
一方の薮宏太は申し訳なさそうに首を横に振った。
「誤解されるような事した俺も悪いんだ。だから、何も気にしてない。」
「そんなこと……どうしよう、俺…ずっと……!」
真実に気づくまで十年かかる人もいる。
誰かがそう教えてくれたのがふと蘇った。
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天凪(プロフ) - 千種さん» こちらこそ遅くなってしまい申し訳ございません…!素敵なご感想ありがとうございます(*^^*)嬉しすぎるメッセージのおかげで元気が出ます♪これからクライマックスまで温かい応援よろしくお願いします(〃'▽'〃) (2017年5月15日 17時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
千種 - 遅くなってしまいましたが、移行おめでとうございます!大好きすぎるこの作品。いつもドキドキ、ワクワクさせてもらっています(*´▽`*)これからの展開、楽しみにしています!頑張って下さい! (2017年5月13日 18時) (レス) id: cd7a5815e3 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - NMダイキング担さん» いつも温かい応援ありがとうございます!嬉しすぎるコメントにいつも元気をもらってます(*^▽^*)是非是非ラストまでお付き合いください!これからも更新頑張ります! (2017年5月6日 15時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - 移行おめでとうございます!天凪さんの作品、大好きです!!これからも頑張ってください! (2017年5月6日 0時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
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