*26*しずく ページ28
「ねぇ、Aちゃん」
躊躇する私に、笑顔のまま、店長が言葉を落とす。
店長以外は、今私が何を考えているのか、きっとわかっていないんだろう。
しかし、“空気が変わった”ことには気づいているはず。
その証拠に、さっきから全員無言である。
「地声きいたときから思ってたんだけど」
『…はい』
朝露が葉から今にも落ちそうなところを見守っているかのように。
店長が吐き出す言葉を、全員が待っている。
その大きいしずくは、きっと、私の“秘密”
私が何をしたって、しずくが落ちることには変わらない。
何をしたって、きっとそれをとめることはできない。
そのしずくの存在自体を、すべての人の記憶、データから消してしまわない限り。
そして、私はそれを実行しなかったんだ。
「Aちゃんってさ―…」
『…』
―…私は、ひとつ悟った。
無邪気で、ただただ好奇心に満ちている瞳は。
「本名のまま、Aって名前で、歌い手やってたよね?」
『…っ!』
―…何よりも、怖いんだということを。
902人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
来賓 - 天月さんだったら天「〜〜」みたいな感じにしてもらえると嬉しいです!お願いします(・ω・`人) (2017年9月28日 19時) (レス) id: 00ddd4f313 (このIDを非表示/違反報告)
カノン - 読み返し3回目です! (2017年8月8日 12時) (レス) id: 451c3d138b (このIDを非表示/違反報告)
CORITTK2(プロフ) - 読み返し10回目(*^^*)なう〜(*´ω`*) (2016年11月27日 0時) (レス) id: 6ac753d7da (このIDを非表示/違反報告)
遥 - 読み返し3週目なうです (2016年11月11日 22時) (レス) id: b5ff9d8745 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃_ayano(プロフ) - 何度読み返しても最高です(*´-`) (2016年9月20日 7時) (レス) id: 1e4aaa14fc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ