*16*思惑 ページ17
*アンダーバーサイド*
―…Aと96店長が出て行ったあと、リビング。
「ねえねえしゃむ月ー」
俺がそう声をかけると、二人はこちらを振り向いて。
「「はい?」」
おお、そろったそろった。
「あのさー、まふくん見てきてくれない?」
上の階を指で指すと、二人は頷いた。
やっぱりお前らも心配そうにしてたもんな。
立ち上がる二人に、一応忠告。
「…あんまり無理させんなよ」
―…まあ、分かってるだろうけど。
少し低くなった俺の声を聞いて、二人はすぐにその意味を理解してくれたみたいで。
「分かったよ、アンさん。大丈夫」
「とりあえずご飯食べさせれば大丈夫でしょ」
「うん、ありがとね〜」
それが分かったから、俺も“いつもの”ふわふわした口調に戻る。
2人は、話しながらドアから出て行った。
よかったよかったー、優秀な後輩を持ったな、俺も。
すると、入れ違いに灯油が入ってきて。
「お、お帰りなさーいジェントルマン灯油」
「…は」
「だから、ジェントルマン灯油」
「…………アン、頭おかしく…なってるのはいつもだけど」
…灯油は遠慮がないな。
ストレートに。まさにストレート。
しかし、全く悪びれずソファに座る灯油に苦笑をもらしつつ、俺はさっきからずっと言おうと思っていた言葉を口に出す。
「ねえ、―…灯油も気づいてるでしょ?」
「…?」
…あ、だめだこれ何言ってるか分かってない顔だ。
周りには“寡黙!”とか言われるんだろうけど、この人実は相当ボーっとしてるよ。
「Aちゃんのこと」
俺がそう言うと、灯油はやっと気づいた様で。
「―…ああ。ついさっきだけど」
と、言った。
お、さすが。
「やっぱり?んで、他に気づいてる人は?」
「俺の予想では、多分店長。他は、まだ。…でも、ここにいる奴らがいる奴らだし、気づくのも時間の問題だぞ」
“バレたくないんなら、どうにかしないと”
灯油はそう言う。
「やっぱ店長も気づいてたかー」
「分かってたくせに、よく言う」
「あは、バレた」
伸びをしながら笑う。
あー、もうこいつ観察力に長けすぎてるんだよなぁ。
「で、バレないほうがいいの?」
「んー…そらるさんからそんな指示はきてないなぁ」
ていうか、教えてもらってもいない。
けど、多分あの人は俺らが察することくらいお見通しだろう。
―…まあ、でも。
「とりあえず、黙っててもらってもいい?」
一応、ね。
そう言うと、灯油はフッと珍しく笑みを漏らして。
「当然」
と言った。
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来賓 - 天月さんだったら天「〜〜」みたいな感じにしてもらえると嬉しいです!お願いします(・ω・`人) (2017年9月28日 19時) (レス) id: 00ddd4f313 (このIDを非表示/違反報告)
カノン - 読み返し3回目です! (2017年8月8日 12時) (レス) id: 451c3d138b (このIDを非表示/違反報告)
CORITTK2(プロフ) - 読み返し10回目(*^^*)なう〜(*´ω`*) (2016年11月27日 0時) (レス) id: 6ac753d7da (このIDを非表示/違反報告)
遥 - 読み返し3週目なうです (2016年11月11日 22時) (レス) id: b5ff9d8745 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃_ayano(プロフ) - 何度読み返しても最高です(*´-`) (2016年9月20日 7時) (レス) id: 1e4aaa14fc (このIDを非表示/違反報告)
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