もう、つらい思いなんてさせない。【まふまふ】 (ページ5)

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ぬくもりはページ5

貴方side

一通り吐いたあと、私は再び倒れるようにベッドに寝転がった。
薄暗い室内のこの空気が、少しだけ、心の余裕をくれる。
瞼を閉じれば、わかるのは冷たいシーツの感触だけ。
ふっと息を吐くと、全身の筋肉が緩んだ気がして、少し、力が抜ける。

「…A？ねむい？」

頭の上に、高い声が落ちてくる。
瞼を開くと、まふくんが私を見下ろしていた。
…そういえば、今日寝てないんだった。

「…ん」

そううなずくと、まふくんは「そっか」とだけ言って、隣の…彼が使っていた布団を
持ってきて、優しく私にかけてくれた。

「寝てないの？」
「…ずっとぼーっとしてたら、朝になってた。」
「ダメじゃん。ごはんは？」
「…食べてない」
「ダメじゃん！」

まるで小さな子供を叱るような口調でそういうまふくん。

「うーん、何か食べたほうがいいよね、顔色悪いし…でも僕料理ダメｄ…あ、そうだ！」

独り言をつぶやくと、今度はスマホをいじり始めた。
…電話かな？

「あ、もしもし？まふまふです！はい、…あ、ゴメンナサイ(´･ω･`)
　…いや、すぐ戻るつもりだったんｄ…ちがいますってば！！ｗｗ」

友達だろうか、やけに親しそうに話している。
私なんかとは、大違いで…
そう思ったら、急に寂しさがこみあげてきて、まふくんから顔をそむける。

「…はい、え、じゃあ、そらるさん来てください。あ、…はいはい、そうですそうです！
　わかりました、じゃあ待ってます、はい、…了解でーす」

電話を切ると、まふくんが私を振り返って「人呼んじゃったけど、大丈夫？」と
確認するように言った。
ふつうは呼ぶ前に確認するものじゃないかな、ふつう。
そう思いながらも、「大丈夫」とうなずく。

「あ、寝てていいよ。僕ここにいるから、なんかあったら呼んでね。」

そう言って私の頭をなでるまふくん。
その優しい笑顔に、胸の奥の奥の奥のほうに、小さくぬくもりが生まれる。

頭にかかるやわらかい重みに安心を覚えて、私は目を閉じた。