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番外編 ・ 夢主編 【変わらない想い】 ページ46

貴女side


「A、身体大丈夫?」
「ん、だいじょぶ…そんなにつらくないよ」

まだ退院してから日が浅い私を、まふくんは心配してくれる。
そんなやさしさに胸が熱くなるのを感じながら、私は彼に緩く抱きつく。

「ん、まふく…ん…」
「なに…?」
「だいすき」

ぽつりとそうつぶやくと、まふくんの瞳がほんの少し揺れた。
そのまま優しく抱きすくめられて、背中に柔らかな衝撃を受ける。

「…A、A」
「ん、う…まふ、まふく…」

ちゅっと小さな音が耳に届く。
数秒間重ねていた唇が解放された瞬間、まふくんの赤くなった顔が至近距離に視界に映る。

「A、僕も、僕もだいすき、きっと…この世でいちばん、だいすきぃ…」
「うん…私…も、だいすき」

その言葉が合図かのように、まふくんの目の色が変わる。
…男の子だ。

幼馴染じゃなくて、友達でもなくて、男の子の目だ。
私の知らないまふくんになったような気がして、変な気分。

少し強引に唇を奪われたかと思うと、「これ、じゃま」と、私の服を優しく解いてく。
外気にさらされた肌を、まふくんの指が丁寧になぞっていく。

「…、あ…」
「…A、A…っ…」

表情で、言葉で、声で、身体で、私の全てで、まふくんへの想いが伝わるように。

「だいすき、だいすきぃ…A、だいすき…っ…」

ぎゅっと抱きしめられて初めて、まふくんがこの二年間どんな気持ちで待っていたのかが分かる。
彼の声は掠れていて、涙が滲んでいて、ひどく熱い。



「A、いい…?」



その言葉がどんなものかくらい、私にもわかっていた。
ほんとは少し興味があって、やっぱり怖くて。

…でも、まふくんとなら。

ちょっとの覚悟を決めて、私はまっすぐにまふくんを見た。
彼の瞳も、覚悟と想いでうるんでいて、すごくきれいに見えた。



「…いい、の…いいの…!」



その瞬間、まふくんの身体が一気に覆いかぶさってきた。
その体重の分だけ、深いところへと押し込まれていく。
反射的に腰を引いて逃げそうになったけど、彼はそれを許してはくれなかった。

「A、っ…Aっ…!!」
「まふくん、ぁ…っ…だいすき、っ…」

繋がったところから、すべての想いが届くように。
もう二度と、この幸せを手放せないように。

きっとこれが運命だって、自惚れてもいいのかな。



でも、これがもし運命じゃなかったとしても、この想いはきっといつまでも変わらない。
だいすき、まふくん。

番外編 ・ まふまふ編 【初恋蜜夜】→←番外編 ・ そらるさん編 【熱と傷跡】



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設定タグ:まふまふ , 恋愛 , 歌い手   
作品ジャンル:恋愛
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夕焼涙雫(プロフ) - 栗原 真白さん» 面白かったですよいー(*ゝω・*) (2018年9月23日 6時) (レス) id: 76522a65f0 (このIDを非表示/違反報告)
栗原 真白 - 夕焼涙雫さん» ほ、ほんとですか…?!嬉しいです、ありがとです…!! (2018年9月22日 19時) (レス) id: 0170d3c859 (このIDを非表示/違反報告)
栗原 真白 - Canpasuーキャンーさん» ありがとうございます(*>ω<*) (2018年9月22日 19時) (レス) id: 0170d3c859 (このIDを非表示/違反報告)
夕焼涙雫(プロフ) - 完結じゃー!時間がある時(=休日)に読み返そう (2018年9月20日 6時) (レス) id: 76522a65f0 (このIDを非表示/違反報告)
Canpasuーキャンー(プロフ) - 完結(?)お疲れさま!そらるさんの次回作、楽しみにしてるよ! (2018年9月19日 20時) (レス) id: 1cab1691ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青瀬真白 | 作成日時:2018年6月26日 6時

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