年上彼氏に溺愛されていますⅢ【センラ】 (ページ6)

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カフェページ6

ひとまず駅に向かおうと千羅さんの背中を押していた私は、校門を出た後、前田君から見えない場所まで移動したところで、千羅さんの隣に並ぶ。

「さっきの彼はいいんですか？」
『はい。同じ授業を受けている同期なんです。たまたまタイミングが合って一緒にいただけなので、大丈夫かと…』
「ふーん」

意味深に頷く千羅さんに首を傾げるも、理由が分からないため、特に深掘りすることなく、気持ちを切り替える。

『そうだ、千羅さんは何時にこちらを出るんですか？』
「うーん、明日も仕事があることを考えると20時半くらいには新幹線に乗りたいとは思いますねぇ」
『そうすると…あと4時間くらい、ですね』

今の時刻は16時半。時計を確認して、逆算をする。私たちがいる場所から新幹線のターミナル駅まで30分。その途中の駅で2人で過ごせそうな場所を思い浮かべる。

『あ、』
「行きたい場所ありました？」
『はい。千羅さん、一緒にお茶してくれませんか？』
「喜んで」

ギュッと結ばれた手に頬が緩む。指と指が絡み合う、いわゆる恋人繋ぎをすると、千羅さんの手の大きさを感じてドキドキする。だが、今はこのドキドキが心地良い。

電車で数駅移動して、こじんまりとした小さな駅で下車する。そこから数分歩いた先にあるのは、親友の舞花とよく利用しているカフェ。

「お洒落ですねぇ」
『是非オーナーに言ってあげてください』

千羅さんにそう笑いかけながら、扉を開ける。カランコロンと軽やかな鈴の音が店内に鳴り響く。カフェタイムを少し過ぎた店内のお客さんの姿は疎らだ。

「いらっしゃいませ…ってAちゃん？！」
『オーナー、こんにちは』
「Aちゃんが…男を連れて来た…！？え、これ舞花知ってるやつ？！お姉さんは？！大丈夫？！」
『もう、オーナーったら。舞花にも姉にも紹介済みですから安心してください』
「…Aちゃん、このイケメンはどなたです？」

お店の奥から姿を現したのは、艷やかな黒髪を持った長身イケメン。この店のオーナーであり、舞花の従兄弟でもある。

「イケメンにイケメンって言われるも照れるなー」
『千羅さん、こちら私の親友の従兄弟さんです』
「Aちゃんの親友、というと舞花ちゃん？やっけ？」
『はい！覚えてて頂けて嬉しいです！』
「あってて良かったわぁ」
「2人とも好きな席に座っていいからね」
『ありがとうございます！』

オーナーに促されるまま、私たちは空いていたソファ席へ移動するのだった。