年上彼氏に溺愛されていますⅢ【センラ】 (ページ4)

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試験前ページ4

「はーい、では今日が最後の授業です。来週は試験だから気を引き締めて取り組むように！」

教授の声掛けに学生たちが返答する。教室には学生たちが数人ずつ集まって席に着いている。Aの所属する学科の必修科目で、1つの課題に対しグループワークを通じて解決策を導き出し、それを教授の前で発表する授業だ。

「試験の発表時間は各チーム10分。発表の形式は事前に配布してある資料に記載している通りです。質問がある人はいますか？」

初回の授業の時に伝えられていた内容から特に変更がないため、学生たちは首を横に振る。その様子を見て、教授は満足そうに頷いた。

「では最後の課題の発表をしますねー」

そうして始まった授業は最初の15分ほどで教授の話は終わり、残りの時間は学生たちで議論をし、意見をまとめ、資料を作ることとなる。

「深山さん、ちょっといいかな？」
『…はい、何でしょう前田君』

何となく最初の授業の時から距離が近くて、最近はやたらとLINEを送ってくる前田君。ぐいぐい来られると引いてしまう私は上手い付き合い方が分からず、悩みの種になっている人だ。

「この資料のグラフなんだけどさ、棒グラフより円グラフの方が視覚に訴えかけるインパクトが大きいと思うんだけど、どう思う？」
『そうですね…ちょっと変えてみてもいいですか？』
「うん、お願い！」

決して頭が悪いわけではない。むしろ発想が柔軟で、発表時の言い回しや資料作成の時には彼のアイデアで教授に褒められることも多い。

(なのにわざわざ私に聞いてくるって、実はかなり慎重な性格でもあるんだろうな)

「あ、あとさ、全然話変わるんだけど…実は俺、たまたま水族館のチケット2枚余って持ってて！試験終わったら深山さん、一緒に行かない？」
『水族館…？』

ふと思い出されるのは千羅さんとの初デート。一挙に押し寄せる思い出に思わず頬が緩む。

「もしかして…！」
『前田君、誘ってありがとう。でもこの前彼氏と水族館に行ったばかりだから、今回はお断りさせてもらうね』
「え…？あ、そっか…え？彼氏？」

前田君にまじまじと見つめられながら「彼氏」というワードを聞き返され、頬が紅くなる。やはり何度口に出しても恥ずかしい。頬の熱を冷ますように両頬を手で抑える。

「おやおや？何か恋愛センサーが反応したぞ？何、深山さん彼氏いたの？」
「え、マジで？！知らなかった！」
「どんな人？！写真ある？！」

私と前田君の会話が聞こえていたらしいメンバーが乱入してくる。結局その日は教授に叱られるまで質問攻めにあうのだった。