歌い手 ページ5
「…ゴホン、気を取り直して。…センラ、彼女さんに俺たちの事情を説明しろ。フォローはしてやるから」
浦田さんの言葉で、折原さんはハッとした後、頷いた。そして私の方に改めて向き直ってくれる。私も大事な話だと察して、背筋を伸ばした。
「Aちゃん」
『はい』
「えーっとまずは…Aちゃんは歌い手って知ってる？」
『…歌い手、ですか？』
聞いた事の無い単語に首を傾げる。志麻さんがすかさず私に問いかける。
「ニコニコ動画は知っとる？」
『…はい、知ってます。Youtubeみたいな動画サイトですよね…？』
「合ってるよ。じゃあ、VOCALOIDは？」
『VOCALOID…名前だけなら…』
「初音ミクは？」
「知ってます。…あ！思い出しました！VOCALOIDって、初音ミクとかの総称…？でしたよね？』
「よう知っとるなぁ。偉い偉い」
なけなしの知識で、折原さんの質問に答えると、折原さんは満面の笑顔で頭を撫でようと手を伸ばしてくる。つい受け入れようとして、周囲の視線が注がれている事に気が付いた私は咄嗟に避けてしまう。
「えっ…」
『折原さん、あの…皆さんの前ですし…』
「じゃあ二人きりになったらええって事？」
『そ、そうではなく…！』
傷付いた顔をしたのも束の間、折原さんは意地悪く笑って私に顔を近付けてきた。私は恥ずかしいと思い、両手で顔を隠しながら、どう説得すれば良いのかと他の人達に視線を向けたが、三人は生温かい視線でこちらを眺めるだけだった。
『あ、あの…』
「なんか俺、もう腹いっぱいやわ」
「センラを放っておいた方が話が進むんじゃないか？」
「駄目や！俺のいない所でAちゃんと他の男を会うなんて許せへん！」
「ついにはメンバーにも嫉妬か…」
話の方向が逸れ始めてしまった事に気が付いた私は、慌てて軌道修正を図ろうと前の会話を思い出す。
『あ、あの！お話を戻しまして！折原さんはその…歌い手？というものに関係しているという事ですか？』
「お、偉い。ちゃんと話を戻した」
「これじゃどっちが年上か分からないな」
浦田さん達に誉められながら、私は「歌い手」という存在についてと、折原さんが「浦島坂田船」というグループに所属している事を説明された。
「どう？理解できた？」
『…すみません。新しい単語ばかりだったので、今頑張って整理してます…』
「分からない事があったら何でも質問して？」
浦田さんと志麻さんに励まされながら、私は必死に頷き返すのだった。
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妃花里(プロフ) - 夢主ちゃんと誕生日一緒！ (9月3日 23時) (
レス) @page12 id: 5ce3102dbd (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - さざんかさん» さざんかさん、コメントありがとうございます！数ある作品の中から2度も見つけ出して頂いて本当にありがとうございます。続きも現在準備しておりますので、今しばらくお待ちください。 (2023年1月24日 13時) (レス) id: a61a4998db (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - いつの日か、この作品に初めてであってとてもキュンキュンしたのを覚えてます。ふと思い出して読みたくなって、やっと見つけました。改めて全部読んでまたドキドキして、やっぱりこの作品、大好きです。良ければ続き、待ってます。 (2023年1月23日 1時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
サチ(プロフ) - ずっとずっと待ってます。 (2022年10月3日 14時) (レス) @page49 id: 3812196784 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - リナさん» リナさん、コメントありがとうございます！お返事が遅くなり申し訳ございません…！ 亀更新ではございますが、応援を励みに頑張って参ります！ これからもよろしくお願いします (2021年9月27日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年12月21日 3時
