ほほえましい ページ29
休憩時間が明け、他の人と交代した後もレジが途切れることはほとんどなかった。
(すごい人気だな…)
朝来た時は、グッズの在庫の多さに驚いたが、すでに半分近く売れているものもあり、このペースだと売り切れる可能性もあるだろう。
(なるべく多くのお客さんが買えますように)
Aはそんな願いを持ちながら、受付を続けるのだった。
ようやくレジに並ぶ人がまばらになった頃、制服を着た女子学生二人が目の前にやって来た。一人は緊張した面持ちで、もう一人は楽しそうな笑顔を浮かべている。緊張している子はお財布を握りしめ、固い決意をした表情で話しかけてきた。
「あの！缶バッジを2個ください！」
『はい、畏まりました。ではこちらの箱から2個お取りください』
「ど、どれにしよう？！」
「直感！直感だよ！」
微笑ましい光景に思わずこちらも笑みが溢れる。今は混んでいないため、ゆっくり選んでも問題ない。数十秒間、箱の上で手を彷徨せていた彼女はどうにか2個選び取り、机の上に丁寧な手つきで置いてくれた。
「す、すみません、悩んじゃって…」
『大丈夫ですよ。では、ご一緒にご確認をお願いします。缶バッジ2個、以上800円でございます』
「千円でお願いします…！」
『はい、千円お預かりいたします』
緊張のせいかお釣りの200円をしまうことに四苦八苦している彼女を、友人さんと共に微笑ましく見守り、最後にグッズを手渡しする。
『ありがとうございました。ご希望のものが出ると良いですね』
「はい！ありがとうございました！」
元気にお辞儀までして去っていく学生さんを見送りながら、「若いなぁ…」とつい思ってしまった。
「深山さん、今の子たち微笑ましかったね」
『田中さん…！そうですね、初めてグッズ買いに来た感があって、ほっこりしました』
「今日はお客さんの治安も良いし、深山さんもいるし、ラッキーな現場だ！」
『またまた、田中さんはお上手ですね』
現場がよく被る田中さんと、周囲を見回しながらも雑談を交わす。田中さんは私よりもライブスタッフ歴が長く、頼りになる先輩だ。
「いやいや、浦島坂田船の応援来たこと何度かあるけど、今回は超当たり」
『そうなんですね』
「若い子が多いからかなぁ。トラブルになるとお互い引っ込みがつかなくなるのか…売り言葉に買い言葉でどんどんヒートアップしていっちゃうみたいだね」
『詳しいですね…？』
「あはははは」
遠い目をしながら笑う田中さんを見て、触れてはいけない話題だと悟り、そこで話を終わらせた。
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妃花里(プロフ) - 夢主ちゃんと誕生日一緒！ (9月3日 23時) (
レス) @page12 id: 5ce3102dbd (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - さざんかさん» さざんかさん、コメントありがとうございます！数ある作品の中から2度も見つけ出して頂いて本当にありがとうございます。続きも現在準備しておりますので、今しばらくお待ちください。 (2023年1月24日 13時) (レス) id: a61a4998db (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - いつの日か、この作品に初めてであってとてもキュンキュンしたのを覚えてます。ふと思い出して読みたくなって、やっと見つけました。改めて全部読んでまたドキドキして、やっぱりこの作品、大好きです。良ければ続き、待ってます。 (2023年1月23日 1時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
サチ(プロフ) - ずっとずっと待ってます。 (2022年10月3日 14時) (レス) @page49 id: 3812196784 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - リナさん» リナさん、コメントありがとうございます！お返事が遅くなり申し訳ございません…！ 亀更新ではございますが、応援を励みに頑張って参ります！ これからもよろしくお願いします (2021年9月27日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年12月21日 3時
