打ち明ける ページ24
『…という事なの』
「………それは、また、凄い偶然があったもんだねえ」
平日の昼下がり。お互いの大学のキャンパスから行きやすいカフェで、学生の財布に優しいワンコインランチのパスタを食べながら、私は親友の舞花に千羅さんの正体ーという言い方が正しいのかは不明だがーを打ち明けた。
『あと、ライブには貰ったチケットで入ってほしいけど、ライブ後は楽屋に来てほしい…って言われてる』
「それ、いいの？」
『うーん…どうなんだろう？会いたい気持ちはあるけど、公私混同がどこまで許されているのか正直分からなくて…』
ちなみに舞花にはライブスタッフの件についても伝えてある。最初は盤若みたいな顔をしていたけれど、最後は冷静な口調で「ま、適切な判断でしょうね」と言ってくれた。
「Aはライブ自体が初めてでしょ？ライブに行く前に舞台裏を知っておく事も悪くないと思うわよ。私も全然知らないし、面白い発見があったら教えてね」
『そうだね、頑張る！』
「…あと、私も初めて"歌い手"のライブに行くから、色々調べてみたんだけど…」
『ありがとう！』
「うーん…どう説明すれば良いのかなぁ…恐らくAは初めて聞く単語が沢山出てくると思うけど、分からなかったらちゃんと毎回尋ねてね？」
「うん？」
そこからの舞花はまるで暗号を織り混ぜた機密文章のような話を始めた。「ペンラ」「リアコ」「同担拒否」「おきに」などなど…今までライブとは縁遠い所で生きてきた私は、新しい単語が出てくる度に質問を繰り出す。何だか最近似たような事があった気がする、と会話の隙間に記憶を辿るとあっさり思い出せた。
(そうだ、浦田さん達から"歌い手"について教えてもらった時だ)
あの時も分からない事だらけで、目が回りそうになったが、嫌だとは思わなかった。今回も同じで、覚える事が多いとは思うが嫌だとは思わない。
(根底にある考えが、千羅さんの事を知りたいだからかな…)
好きな人の事をもっと知りたい、と思ってしまうのは恋をした人間なら一度は陥る事らしい。いき過ぎるとストーカーになったり、相手が望まない束縛になるから気を付けろとも忠告はされた。
「まあ、Aは結構他人に興味無いから、そこの線引きは間違えないと思うけど」
こう言ってきたのは姉だ。何気に酷いことを言われていると思う。
「ま、説明はここまで！…ほんと、Aとライブ行ける日が来るなんておばちゃん嬉しいわ」
『そんな年でもないくせに』
「まあね」
『真顔！』
二人で顔を見合せて笑いながら、私は胸のつっかえが取れた感覚を味わっていた。
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妃花里(プロフ) - 夢主ちゃんと誕生日一緒！ (9月3日 23時) (
レス) @page12 id: 5ce3102dbd (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - さざんかさん» さざんかさん、コメントありがとうございます！数ある作品の中から2度も見つけ出して頂いて本当にありがとうございます。続きも現在準備しておりますので、今しばらくお待ちください。 (2023年1月24日 13時) (レス) id: a61a4998db (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - いつの日か、この作品に初めてであってとてもキュンキュンしたのを覚えてます。ふと思い出して読みたくなって、やっと見つけました。改めて全部読んでまたドキドキして、やっぱりこの作品、大好きです。良ければ続き、待ってます。 (2023年1月23日 1時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
サチ(プロフ) - ずっとずっと待ってます。 (2022年10月3日 14時) (レス) @page49 id: 3812196784 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - リナさん» リナさん、コメントありがとうございます！お返事が遅くなり申し訳ございません…！ 亀更新ではございますが、応援を励みに頑張って参ります！ これからもよろしくお願いします (2021年9月27日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年12月21日 3時
