忠告 ページ11
『あ…えっと…』
ドクドクと心臓の音が耳の後ろで聞こえる。きっと今の私の顔は真っ赤だ。
「Aちゃんがそのつもりが無いのは分かってるんやけど…今みたいな事、俺以外の男にいったらアカンで？」
勘違いするからね？と折原さんは笑いながら、私の後れ毛を耳に掛けてくれる。その指先にすら反応してしまい、思わず涙目になってしまうのを感じる。自分でも自分が分からなくなってしまい、縋るように折原さんを見上げた。
「…Aちゃん？俺の忠告聞いてた？」
『はい…ちゃんと聞いてました…』
「はぁー…今までよく無事だったなぁ…」
『な、何がですか…？』
「んー、こっちの話」
折原さんは何度か深呼吸をして、首を横に振った後、私に改めて向き直った。
「で？俺とまだ離れたくないAちゃんはどうしたいん？」
『あっ…姉に電話してもいいですか？』
「うん、ええよ」
折原さんの許可を貰って、私は姉に電話を掛ける。数回のコールの後、姉は電話に出てくれた。事情を省略して説明し、晩御飯も外で食べていいか尋ねると、姉はあっさりと許可を出してくれた。
「でも門限は守ること！」
『うん、ありがとう！』
「あと、一回折原さんに代わってくれる？」
『え？うん…分かった…』
姉に言われるまま、私は折原さんに携帯を渡す。姉が話したいらしいと伝えると、折原さんは背筋を伸ばしてから携帯を受け取った。
「はい、もしもし。お電話代わりました、折原です」
キリッとした表情で電話をしている折原さんが格好良くて、ぼうとしながら眺める。途中、折原さんがチラチラと私を見てきたが、首を傾げることしか出来なかった。
姉とどんな会話をしているかは、折原さんの相槌だけでは分からないけれど、悪い話ではない事を祈りたい。
「はい、ありがとうございます」
折原さんが携帯を耳元から離す。そのまま私に渡してくれるが、すでに通話は切れていた。折原さんは慌てていたけれど、自由な姉らしい行動に私は笑ってしまった。
「ごめんな？まだ話す事あったんやない？」
『いえ、大丈夫ですよ。姉はこういう時、さっぱりしてるので気にしないで下さい』
元より折原さんに渡す前から想定していた事なので、話したい事があったら事前に話していた。そう伝えると、ようやく折原さんは緊張を解いてくれた。
「ほな、晩御飯食べに行こうか」
『はい！』
「今日は何食べたい？」
今度こそ晴れやかな気持ちで席を立ち、私たちは店を出る支度をするのだった。
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妃花里(プロフ) - 夢主ちゃんと誕生日一緒！ (9月3日 23時) (
レス) @page12 id: 5ce3102dbd (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - さざんかさん» さざんかさん、コメントありがとうございます！数ある作品の中から2度も見つけ出して頂いて本当にありがとうございます。続きも現在準備しておりますので、今しばらくお待ちください。 (2023年1月24日 13時) (レス) id: a61a4998db (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - いつの日か、この作品に初めてであってとてもキュンキュンしたのを覚えてます。ふと思い出して読みたくなって、やっと見つけました。改めて全部読んでまたドキドキして、やっぱりこの作品、大好きです。良ければ続き、待ってます。 (2023年1月23日 1時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
サチ(プロフ) - ずっとずっと待ってます。 (2022年10月3日 14時) (レス) @page49 id: 3812196784 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - リナさん» リナさん、コメントありがとうございます！お返事が遅くなり申し訳ございません…！ 亀更新ではございますが、応援を励みに頑張って参ります！ これからもよろしくお願いします (2021年9月27日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年12月21日 3時
