瞬間的感情論【歌い手】

第九幕 side you ページ11

鏡を見て、もう一度姿を確認する。

おかしくない？
似合ってる？
気張り過ぎじゃない？


今日は待ちに待った日曜日。
あの有名なスズムさんと会う日。

昨日は緊張で眠れず、服だって新しく買ったものを選んだ。

待ち合わせは11時半に池袋駅。
山手線のホーム。

今の時刻は9時半。
大丈夫。絶対間に合う。

覚悟を決めて家を出る。

私の家から池袋までは約40分。
向こうで一時間以上待つけど別に良い。

スズムさんを待たせる訳にはいかないし。

「…………よし。」

最寄り駅について丁度来た電車に乗り込む。

電車に揺られながら、スズムさんのことを考えた。

……どんな人だろう。

きっと、私とは次元が違うんだろうな。

私なんか、どうやっても届かない位。

不安だけど。


それと同じくらいに


ドキドキしてる。



池袋駅につく。

電車を降りて、山手線のホームへ。

エスカレーターの前の柱に寄りかかる。

今は10時。

予定より早く着いた。

あと1時間半で、スズムさんに会える。

私はイヤホンをつけて音楽を聴き始めた。

次回作候補の、『世界寿命と最後の一日』が流れる。

せっかくスズムさんにミックスしてもらうんだから。と、候補に加えたものだ。

難しいし、私に歌えるか分からないけど。

目を瞑って、音に呑まれていった。

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