【A3!】歌い手とMANKAI寮 (ページ5)

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『わたしは夏目Aといいます。そのお話受けさせてください。よろしくお願いします。』

い「MANKAIカンパニーの総監督兼主宰の立花いづみです。こちらこそよろしくお願いします。」

お互いに挨拶を終える。いづみが右手を差し出すと恐る恐る握り返してくる。そこから軽い自己紹介を幸と椋を交え行い、引越しの日取りや連絡の為にLIMEを交換する。

い「じゃあ、今日は見学だけでもしてく？」

『いえ、今日はもう帰らないといけないので帰ります。』

い「そう、じゃあ親御さんに許可だけ取っておいてね。後でわたしも連絡するけど。」

『はい、わかりました。有難う御座います。それでは。』

そして少女は駅のホームへと消えていった。

い「礼儀正しい子だったね！」

少女が消えていった方向を見つめにこやかに言う。

幸「インチキエリートぽくてなんかやだ。」

い「えー？そうー？」

椋「でもどうして住み込みに拘ってたんでしょう？まだ学生さんみたいですし。」

椋の疑問は他2人も思っていたことで、再び疑問が脳内を支配する。しかし、考えても3人には分かるはずもなく帰路へと足を向けた。

▽―――

『…っ奇跡！』

電車内で少女は小さくガッツポーズをする。見つかる確率は低いと思っていた住み込みバイトが見つかりしかも好条件というおまけ付き。喜ばないはずが無かった。

しかし、問題は父親である。帰ってすぐに伝えてしまうとまた暴力を振られる可能性がある為ギリギリに伝えよう、荷物は少しづつまとめてバレないようにと電車に揺られながら作戦を立てる。

家の最寄り駅に着くといつもより軽やかな足取りで帰路を進む。今日はお父さんの好きなオムライスを作ってみよう。お父さん喜ぶかな。と少し浮かれていながらも父を思う子がそこにはいた。

▽―――

『遠いところ有難う御座います。すぐ終わらせますので。』

引越し当日。荷物が少ないという事で丞のワゴン車でAの家まで出向き荷物を詰んだ後MANKAI寮へ行く流れとなった。

丞「重いものもあるだろ。手伝う。」

『……有難う御座います。』

丞、いづみの2人だけで引越しを手伝う。幸い重いものといえば学校の教科書くらいであとは衣類程度であった。荷物の少なさに丞といづみは驚いていたが家の中自体が物が少ないため納得していた。