再演 第二章 ページ2
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「まあ、良さそうには見えないよね、相性」
というのは、とりあえず当事者AAの所属する立海の部長として事の次第を報告された幸村の言葉である。彼はそう言いながら食堂にてティーカップを傾けた。
「そうは言っても、共同生活をしてるんだ。問題を起こされちゃ困る」
同じようにティーカップ片手に言うのは、相変わらず樺地を控えさせる跡部だ。
「そうですねぇ。大体気に入らないからといって、むやみに挑発的な態度を取るのはいただけませんね」
言うのは観月だが、そればかりは盛大に“お前が言うな!”という話である。
練習のない休息日の午後、あるいは夜、消灯の少し前。そんなリラックスしたい時間帯に、彼らはなんとなく集まっては優雅に紅茶を嗜むのだ。メンバーは固定でなく、例えばそれぞれの学校の部長たちが集まり情報交換のようなことをしていたり、あるいは後輩を伴って来て指導のようなことをしたり――目的という目的もない、言ってしまえば中学生らしく“駄弁りながら雑談をしている”だけなのだが、錚々たる雰囲気のせいでなんとなく近寄りがたい雰囲気になってしまうのは、ご愛嬌といったところか。
そんな錚々たるお茶会に、もうひとりの当事者亜久津仁の学校の部長として招集されてしまった南は、内心で萎縮しながらも、「うちの亜久津が申し訳ない……」と言葉を紡ぐ。
「そこに関してはうちのもお互い様だからね」
にこり、と優し気に微笑む幸村に、南は胸を撫で下ろす。学校間の確執になったりしなくてよかった。ほっと安心している南は知らない、問題のAが、この幸村にどんな詰問の仕方をされるかなど。
「……とりあえず現時点では、あの二人を野放しにしないことだな。誰か止めに入れる奴と一緒に居させろ」
「ああ。千石に頼んでおくよ」
「Aはすぐどっか行くからなあ……仁王で捕まえていられるかどうか。丸井にも言っておくかな」
はあ、と幸村はため息を吐いた。
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角砂糖(プロフ) - 美琴さん» ありがとうございます!!(大声) (2020年3月11日 19時) (レス) id: 651af228bd (このIDを非表示/違反報告)
美琴 - 好きです(突然の告白) (2020年3月9日 20時) (レス) id: 0419c563a9 (このIDを非表示/違反報告)
角砂糖(プロフ) - 蘇芳さん» この作品を愛していただき本当にありがとうございます。この話の続編は、今の所はあまり考えていません。今非常に私生活が忙しく、それが一段落したら何か書きたいなとは思っていますので、いつになるかわかりませんが、もし気が向けばお付き合いいただけると幸いです。 (2020年1月30日 4時) (レス) id: 651af228bd (このIDを非表示/違反報告)
蘇芳(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました!もしもあるのなら続編楽しみにしています。これからも頑張ってください! (2020年1月24日 20時) (レス) id: ec6c109e68 (このIDを非表示/違反報告)
ピット☆(プロフ) - 角砂糖さん» そうです!覚えていてもらえて嬉しいです!!予定があるかはわかりませんが次の作品をお待ちしてます! (2019年11月20日 1時) (レス) id: f631e9f6d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:角砂糖 | 作成日時:2019年3月18日 21時