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まるで私の考えていることを読んだのようにクラネはそう言った。……仮にクラネの言っていたことが事実だとしたら、疑問に思うところがある。
「私は本に入っていないんですか？」
なぜか私だけここの部屋で目が覚めたことだ。実はもう本から出た、という考えもあったが、それはないと思う。クラネをみると、やはり彼は小さく頷いた。
「入れれなかったんです。彼らはすんなり入って行きましたよ。そして今、元の世界に帰ろうとしています。ただ、貴方だけはどんなに入れようとしても入りませんでした。ですから、今、ここにいるわけです」
どうやって入れてるだとか、そういう問題ではない。
いや、気になるけれども。聞いたところで教えてくれるはずがない。こんな異世界の本に入れるような行為。魔法だろうか。現実の世界にいた私が聞いたら抹殺されてしまう気がする。それに、今はどう入れたかなんて関係ない。だから、本に入る方法はどうだっていい。
なんて返せばいいか悩んでいると、クラネが先に口を開いた。
「入れれないことは珍しいことではありません。なんらかの魔術が妨害しているのだと思います。ですが、貴方の年齢から考えますと、肉親がかけられるくらいでしょう」
つまり、私自身からはかけれないというわけだ。……それもそうか、だって私は" ただの "人間だから。
私に兄弟や姉妹はいない。両親は離婚しており、私はお母さんについていくことになった。祖父母もまだ健在だから、可能性があるのはお母さん、祖父母の三人だ。
「私の家族が、この図書館にいたんでしょうか？」
「いえ、違うと思われます。魔術師と言っても、ひっそりと人間の世界に住んでいたりもしますので。それに、ここでなくても、私が住んでいる異世界であれば魔術は使えるようになります。」
そのクラネの言葉を聞いて、更にごっちゃになってくる。クラネが住んでいる世界軸なら、誰でも魔術が使えるから、別にこの図書館で働いてなくても現実世界で生活していれば私の家族は魔術を使える……ということだろうか。にわかに信じられない話だけど。
「貴方の住んでいる世界に行った魔術師を調べることもできますが、名前を伺わないとわかりません。もし気になるようであれば調べますが、どうしましょうか？」
気にならないと言ったら嘘になる。しかし、小学生とは言え、見ず知らずの人に家族のことは話したくない。どうするべきだろうか――？
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