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八時半になると、担任になるであろう女の先生が教室の中に入ってきてそう言った。
「今日から一年間よろしくお願いします！ 自己紹介から、始めましょうか」
入学式の説明をし終えた担任の
自己紹介は、どうやら入り口側に座っている子から紹介していくようだった。私は先生の真正面に座っているから、順番まではかなり時間がありそうだ。
一番最初じゃなくてよかった、とほっとする。一番最初だと緊張で何を言えばいいかわからず恥をかいてしまいそうだから。
だけど、一番目だった男の子は全く気にしないタイプだったようであっという間に紹介し終えていた。淡々と、話すだけ話すと椅子に座り、次の人の番になる。
「――
着々と進んでいく自己紹介。自分の番が近づくにつれ、どくんどくんと心臓が跳ね上がっていくような気がした。
なんて言おう……。
そんなことを考えている間に私の番になっていた。私は椅子から立ち上がって後ろを向く。
「あ、霧島瑠花です。えっと……よろしくお願いします」
たどたどしくも、自分の名前は言えた。趣味やら特技など言っている子もいたので、私の紹介は淡泊としたものになってしまったが、それでも構わない。遠くの人に聞こえていたかどうかはわからないけどこの際、名前さえ伝わればいい、はず。
一人で自己紹介の反省をしていると後ろの子が名前を言う声が聞こえた。
「
穏やかな声と落ち着いた雰囲気を見るにおとなしい性格の子ということがわかった。後ろの席の子が仲良くなれそうな子で一安心する。
そのまま自己紹介が続き、窓際の席の子が紹介し始めた、そのとき。ガタン！ と勢いよく椅子が引いた音が教室内に響き渡った。突然の大きな音に肩がびくりと跳ね上がる。
なにかと思い音のした方を見ると、一人の少年が立っていた。
「
比較的まともにされた挨拶だったが、彼の容姿といったら明るめの茶髪に着崩された制服でいかにも不良です、と言った見た目だった。彼を見た近くの席の男子たちは「竜条とかよ」や「竜条と一緒じゃ命がいくつあっても足りない」と不吉なことを囁いていた。
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