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昨夜の出来事を打ち明けると、パクノダは驚いたような、少し怒っているような顔をしてくれて、本当に優しい人なんだな、と改めて実感した。
フィンクスもフェイタンには程々に引いていた。思えば彼、ルージュ・キッスを盗みにきたときもすぐに手は上げなかったし、エトレアさんを殺す素振りもなかった。思っているほど乱暴な人ではないのかもしれない……。
「とにかく手ェ離してやれ」
フィンクスがそう言うとフェイタンは舌打ちをし、不服そうに手を離した。文句の一つや二つ言ってやりたいのはこっちだというのに。
「で、質問に答えるね。手の怪我はどうしたか」
「……念で治療しただけよ」
沈黙を貫こうとしたが彼の圧に負けた。
「あなた、怪我を治すこともできるの？」
「爪が剥がれたり、目玉をくり抜かれたりとか……そういうなくなったものは回復しないわよ」
『お助けするニャー』の説明をするとパクノダとフィンクスは感心したようで、フェイタンも納得してくれたようだった。しかし、フェイタンには何か思うところがあったのか。視線を陰に落として考え込んでいたようだが、やがて口を開いた。
「ま なんにせよ、簡単に念能力についてしゃべらないことね」
言え、と言わんばかりに睨んできていたのに教えたらこれだ。とはいえ正論なので言い返すことはできず、ただ通り過ぎていくフェイタンとフィンクスを見送ることしかできなかった。
「どうしてあなたを襲ったのかしら」
呆然と突っ立っていると、パクノダは独り言のように呟いた。それは私が一番知りたいところである。
「でも、彼なりに考えがあるんでしょうね」
「考え？」
「ええ。私には分からないけれど」
邪険にしないであげてね、と言い残してパクノダは去っていった。どちらかというと邪険にされているのはこっちのような気がしないでもない。
しかし、パクノダの言う通り。フェイタンが何を考えているのか、私にはまだ分からない。彼のことを知るためには彼と親しくする必要があるかもしれない。もっとも、今度いつ会うかは分からないけれど……。
私も早くやるべきことをやらなければならない。まず明日の仕事を終わらせなければ。明日のことに関しては気になることがあるから、まずは情報を収集できるところへいかないと。
そう思った私は彼らのアジトから離れて、ネットカフェでその日を過ごすことにした。
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