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「どういうことですか？」
いきなり何人ものボディーガードが忽然と消えることなんてあるのだろうか。疑問に思った私はすぐさま電話している相手に尋ねることにした。
「原因は現在調査中だ。主にロキシィお嬢様を移動させている間、足止めしていた者と――」
一瞬、幻影旅団の姿が脳裏を過った。襲撃された時間帯、エトレアさんは宝石を取りに行き、推測の範疇だが取った後はすぐに当主の部屋に戻ったはずだ。
それならばおそらく幻影旅団の仕業に違いない。当時まで遡って記憶を引っ張り出す。フェイタン――いや、あのとき私を力技で押さえつけた彼だ。人を消失させるような念能力の可能性は低い。それは筋肉質なフィンクスも然り。シャルナークも、念能力に携帯が関わったとしても人を消すような能力だとは思えなかった。
「宝物庫を警備していた者がいなくなっている。管理していたものも消失している状況だ」
「宝物庫……？」
ロキシィお嬢様が欲しいとねだり、オークションで落札した宝石が管理されている場所だ。とはいっても、彼女が飽きた宝石だらけで、お気に入りである宝石は本人が身に着けているのだが。
それはさておき、管理していたものがすべて消えているとすると……私が交換条件を持ち出したときは、既に奪われた後だったということ？
「……わかりました。私の方でも調べておきます。当主には、当分の間離れておくと伝えてください」
そう伝えながら、心の中で可能性が高い人物を挙げていく。残るはクロロ、パクノダ、シズクの三人だ。そういえば――宝石を置いていた部屋にきたとき、シズクという少女は肩に掃除機をかけていたはず。
……まさか。人があの中に吸い込まれるなんて考えられなかった。しかし、念能力は自由自在。特に彼女のような具現化系は能力の幅も広がるから、可能性は高いだろう。ただ、それはクロロやパクノダにも言えることなので確定したわけではない。慌てず、冷静に調べていこう。
それから一言二言、屋敷を離れる理由を適当に話した私は電話を切った。
下手に尋ねても怪しまれるだけだろうな……。画面をぼんやりと見つめながら考える。
電源を切らなかったため画面は明るいままだったが、しばらくしてふっと暗くなってしまい、そこで私は我に返った。
ここで考えていても仕方ない。ひとまず一泊できるくらいのお金を銀行から下ろしてこようと思った私は、携帯をしまい近くにある銀行を目指し歩き出した。
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