お歌を使った短編集(hsj) (ページ3)

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ハイドアンド・シーク　cn+ym ページ3

「ちねん、可愛い！」
「ちぃちゃんはやっぱ可愛い！」
「ちねんくん、可愛いなぁ」

本当はね？可愛いなんて、人前だけなの。
誰かに嫌われるのが怖くて、陰口が痛くて、人に守られやすいキャラを演じてるだけなの。
そんな僕を、愛してくれる？

本当の僕は汚いの。
テビューしたくて、お偉いさんに媚び売ったり、仕事が欲しくて、枕営業もしたの。
そのおかげで、ちょっとだけど仕事がもらえた。
でも、今はそんなことしなくてもお仕事があるから、僕の過去は隠しちゃうの。
でもね、気づいちゃった。
僕を一番嫌いなのは、汚くて、隠したい僕なんだなって。

ねぇ、涼介。
子供の頃みたいに、スタジオでかくれんぼしたいな。
「もーいーかい。」
「まーだだよ。」
…一人で言っても、壁が声を飲み込むだけだった。

涼介は、離れていく僕を見てこう言った。
ちねんが俺を捨てて、誰かから手に入れる愛は見せかけだけの愛なんだよ。

「もーいーかい？」
「まーだだよ。」
涼介、もう愛してくれなかったんだもん。
僕、誰かに愛されたかったんだよ。
大事になんかされなくていい。
愛してよ。

明日、涼介に打ち明けるよ。
僕は汚くて、卑怯で、幼稚で、臆病だって。
涼介が離れていって、僕を嫌いになるのは、皆から嫌われるより何十倍も辛いって、気づいたから。

「涼介。」
「まーだだよ。」

fin.