この夜を(橙)…傷口を風にあてて (ページ8)

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隆ちゃんに背中向けて

お財布から

カードキーを出そうとする

頑張った！頑張ったよ私！

手が震えてうまく出されへん

ずっとずっと

言おうって決めてた

ずっとずっと

泣いてない隆ちゃんが壊れそうで怖かったんやもん

もう会われへんくてもしゃあない

この夜をこえたら

虹色eighterになるだけやん

やのに…やのに…

震える手は

滲む視界は

隆ちゃんのそばから離れるんを拒絶してる

『ごっ、ごめんな』

『すぐ』

『すぐ』

『出てくから』

そう言った私の震える手を

隆ちゃんの手が抑えこんだ

私を後から抱きしめるように

後から腕をまわして

肩に隆ちゃんの重みを感じて

震える隆ちゃんを感じて

「渋やん」

「あかん」

「イヤや」

「もうちょっとだけ」

「7人」

「やりたいことあった」

「やれてないことあった」

「やらんなんことも」

震える声で

片言で思いを吐き出す

そして

しばらく黙ったまんま

私の肩が濡れ続けた

「ほんま最後やってんな」

「もう左向いてもおらへんのやんな」

「楽屋にも」

「好きや」

「こんなにも好きやのに」

「好きやから」

「止められへん」

そして

その後に続いた言葉は

嗚咽になって何言うてるんかわからへんけど

良かった

隆ちゃんの中から

溢れ出る思いが

出せて良かった