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｢何かあったんか？｣
さわさわと私の髪を指で梳きながら
信ちゃんはなんてことないように聞いてくる
｢何も無いよ｣
忙しくて色んな思いを飲み込んで
それでもアイドルを全うしてる信ちゃんに
しょうもない仕事の愚痴なんて言えない
｢何もあらへんやつはそんな即答せぇへんわ｣
そうつっこむ口調とは裏腹に
私の髪を触る手は優しいままで
その手に身を任せたくなる
｢ほんまAは甘えたさんやなぁ｣
少し笑ったように聞こえる優しい声
ねぇ信ちゃん？
私の事甘えたさんって言うのは
信ちゃんだけって知ってた？
親兄弟ですら『可愛げのない子』って言うんだよ
信ちゃんに出会うまでの24年間
私は一度だって甘えたさんなんて言われたことない
信ちゃんと出会って八年
契約書を交わしてから六年
信ちゃんは事ある毎に私を甘えたさんって言う
その時は必ず
とっても優しく笑ってくれるから
私の心もふにゃふにゃになっちゃうの
信ちゃんといると優しい気持ちになれるから
信ちゃんといると幸せ過ぎて泣きたくもなるの
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作者名：UTA
| 作成日時：2019年1月26日 21時
