耳元で歌わせて (赤) 3 (ページ26)

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｢おかん、Aちゃん病み上がりやし今日は風呂やめといた方がええと思うねん｣

｢それに泊まるんは用意もしてへんし｣

｢そおなん？お風呂はともかく泊まってけばええのに｣

おかんがわかりやすくテンション下がってるん見て

Aちゃんが繋いでた手をキュッと握ってきた

｢...お風呂はやめときますけど泊まらせてもろてもいいですか？｣

｢ほんま？｣

｢Aちゃん？｣

おかんと俺の声が被る

｢せっかく言うてもらってるし｣

｢すばるくんも今から運転するん大変やし｣

｢もし良かったら明日あのお寺に紅葉見に行かへん？｣

｢前行った時に言うてたやん？｣

覚えてくれてたんや...

俺的には頑張ってたけど

あんな会話の流れで出たかのような約束を

ちゃんと覚えてくれてたんが嬉しい

｢おばちゃんも紅葉見に行きたいってLINEで｣

その上さらにあんな一瞬見せただけのおかんのLINEまで

俺の事マザコンや言いやがった

あのブランド好きの女とはえらい違いやわ

｢デートやのにええのん？｣

っておかんが形だけの遠慮して

｢おばちゃんと一緒やと......楽しいし｣

そうふんわり笑てくれたけど

なんか含みあったやんな？

って思たらおかんが

｢私と一緒やったら？｣

って

Aちゃんとは全然違うニタニタ顔でAちゃんの事覗き込んで

返事に困ってるAちゃんを
肘でつっついて

｢すばるの素が見れるもんな｣

って

Aちゃんはふんわり笑て頷いてた

なんなん？

その可愛いやつ

素の俺なんてなんぼでも

見せたるっちゅうねん

そんなん思てたら

Aちゃんが俺のシャツの裾をつんつん引っ張る

｢うん？｣

ってAちゃん見たら

｢パジャマとか下着とか買いに連れてってくれる？｣

ってこれまた可愛いく聞いてくるから

｢ええよ｣

って答えておかんに一声かけて家を出る