耳元で歌わせて (赤) 3 (ページ25)

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俺はその手に自分の手を重ねて握ったら

Aちゃんの横におりてそのまんま引き寄せて抱きしめる

そして

Aちゃんの右耳に囁いた

そっと離れるとAちゃんは首を傾げて俺の顔を見る

そんなAちゃんをもっかい抱きしめて

左耳に

｢ないしょ｣

って言うてからゆっくり離れた

今、言うたことは内緒

まだ

今、伝えることやないねん

でも

今、言葉にしときたかった

Aちゃんは腑に落ちへん顔してたけど

おかんがAちゃんの事呼ぶ声がして立ち上がる

あかん！

おかん風呂の用意する言うてたやん！

｢Aちゃん！｣

｢待って！｣

リビング出たとこで立ち止まって振り返るAちゃん

｢どうしたん？｣

｢おばちゃん呼んどってんやけど...｣

｢あかん！｣

｢行かんとって！｣

慌ててAちゃんの傍に行って手を握る

そこへおかんが戻ってきて

｢なんなん？Aちゃん呼んでたのにすばるが離さへんかったん？｣

って笑てて

Aちゃんは繋がれた手と俺の顔とおかんの顔を

あわあわしながら見回して

｢まぁ仲ええんは良いことやん｣

｢あんたら遅なったし今日は泊まっていき｣

｢Aちゃんお風呂どぉぞ｣

おかんのその言葉に

Aちゃんは俺の顔真っ直ぐに見て

ちょっと泣きそうになりながら

｢すばるくん...ありがとう｣

そう言うてそれでも笑てくれた