耳もとで歌わせて（赤） 2

53 ページ26

♪LINE♪

7時過ぎスマホが鳴る

電気もつけてない部屋に浮かび上がるスマホの明かり



【スーパー着いた】

【果物リンゴでええか？】



ヨコからや

LINEひらいて



【ありがとう】

【ええと思う】



そう返した


しばらくしたら

玄関のドアを控えめにノックする音がした


そっとベッドの側から離れて

玄関を開ける


スーツ姿のヨコとヒナがスーパーの袋下げて立ってた



｢Aちゃん具合どうや？｣

｢とりあえずこれ｣



手渡された袋を受け取る



｢ありがとう｣

｢朝よりは全然息も楽そうやわ｣



｢そっか｣

｢寝てんの？｣



｢うん｣

｢昼に薬飲んでからずっと｣



って俺が言うたら

部屋の奥から



｢すばるくん？｣



って俺を探してるようなAちゃんの声がした



｢うん？どした？｣

｢こっちおるよ｣



って俺が応えて部屋に戻ろうとしたら

顔を見合わせた2人が意味ありげに笑って



｢帰るわ｣


｢すばるの声甘すぎて胸やけしそうやしな｣


｢詳しくはまた飲みながら聞くし｣


｢悪酔いしそうやけどな｣



そう言うて帰って行った


甘すぎて胸やけするってなんやねん

俺かて自覚あるわ

そう思いながら急いでベッドまで戻った


Aちゃんはベッドの上に座ってて



｢誰か来てたん？｣



って聞いて来たから



｢うん｣

｢ヨコとヒナ｣

｢Aちゃんにお見舞いやって｣



そう言うてレジ袋見せたら



｢気ぃ遣わせちゃった｣

｢お礼せんとあかんね｣



って言うから



｢あいつらAちゃんのファンやから貢がしといたらええねん｣



って言うたら



｢私ちごですばるくんのファンやろ？｣



って笑ってくれた



｢少しは楽になった？｣



｢ありがとう｣

｢もう平気｣



｢平気ちゃうわ｣

｢治りがけが肝心なんやで｣

｢ヒナがせっかく届け出してくれとんやから明日も休んでゆっくりし｣



｢でも…｣



｢うん？｣



｢一度帰って着替えたりしたい…｣



それもそうか…

けど一人暮らしやって言うてたし…



｢なぁAちゃん？｣

｢あいつらが買うてきてくれたもん食べたら送るけど｣

｢心配やから俺も一緒におったらあかん？｣



ちょっと遠慮気味に聞いた俺に

Aちゃんは俯いてしもて何も言わへん



｢やっぱあかんかな？｣



そう言葉重ねた俺に



｢...一緒におってくれるん？｣



って言うてくれた



｢おらせて？｣



笑ってそう答える

この小説の続きへ→←51

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す