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店に戻るともう表の灯は落とされてCLOSEの札がかかっていた
中に入るとメンバーももう帰ってて
マスターだけがツールに座って煙草燻らせながら呑んでた
俺が入ってくとマスターが
｢明日仕事やろけど1杯だけ付き合うて｣
言うて俺の返事も待たんと
カウンターの向こうからグラスを取った
マスターの横に座って
2人して黙ったまんまちびちび呑んでたら
暫くしてマスターが口を開いた
｢Aがすばると同じ会社やったとはな｣
｢ずっとどうしてるか気になっとったけど元気そうで良かったわ｣
｢Aちゃんプリエールやったんすね｣
｢俺が前に褒めた時にありがとうって返された意味が分かりました｣
｢うん｣
｢解散したんすか？｣
｢解散はしてない｣
｢活動休止中｣
｢…永遠に…やけどな｣
｢永遠って｣
｢あんなええバンドやのに勿体ないっすよ｣
マスターは困ったような笑顔を浮かべて残ってたウィスキーを飲み干した
｢違うギターを入れてまで続けるつもりは無いし｣
｢プリエールの曲にギターが無いのもありえへん｣
｢これはメンバーの総意やし｣
｢Aと2人だけであの曲やったって他のメンバーにバレたらめっちゃ怒られるかもな｣
｢ギターさんが弾くん辞めたんすか？｣
｢……｣
｢…辞めたわけやないけど…｣
｢…あいつ今どこにおるかわからへんねん｣
｢あの歌やないけど会える日が近づいて来るんを待ってるとこ｣
それって
そういうことやんな
｢あかん今日の俺色んなもんに酔うてるわ｣
マスターは煙草に火をつけて
静かに
綺麗に
泣いた
俺はかける言葉も見つからへんし
聞きたいことも聞いたらあかん気がして
マスターの顔を見いへんように真っ直ぐ前を向いたまんま
すっかり氷が溶けて薄くなったウィスキーを
それでもちびちび呑み続けた
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UTA(プロフ) - 目に見える障がいと見えない障がい。どちらがツラいとかは他人が決める事では無いですよね。ただ過剰反応せずストンと受け止めてちょっとだけ心配り出来る人でありたいと思います。 (2018年12月9日 7時) (
レス) id: 916009774d (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - UTAさん» 私は幼い頃に失聴したので、両方聞こえる感覚がわかりません。それと同じように、片耳難聴を理解してもらうことは難しいと思います。でもとりあえず、片耳難聴のことを、もっと多くの方に知ってもらいたいなと思います。書いていただいてありがとうございます。 (2018年12月8日 5時) (レス) id: 888490902b (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - UTAさん» 片耳難聴を理由に実習の受け入れを拒否されたり、友達と無視したしてないのトラブルになったり。障害者として認められている訳ではなく支援も受けられないから、健聴者に紛れて、健聴者のフリをして生活するのはなかなかに大変です。 (2018年12月8日 5時) (レス) id: 888490902b (このIDを非表示/違反報告)
UTA(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます。程度の重い軽いはあっても、また同じ症状であっても障がいのある方の受け止め方は千差万別なので書く事に躊躇いが無かったわけではありません。ただタブー扱いする事だけは違うという私の信念があるので…読み続けていただいて本当に嬉しいです。 (2018年12月2日 14時) (レス) id: 916009774d (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - やっぱり片耳が聞こえないという設定だったんですね。私も主人公と同じで右耳が聞こえません。読んでいて、座る位置とか助手席での振る舞いとか、既視感があって気になっていました。そしてやたらと感情移入してしまって、胸が苦しくなりながらも更新が楽しみでした。 (2018年12月2日 2時) (レス) id: 888490902b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：UTA
| 作成日時：2018年11月20日 5時
