03-1 * うらたぬきさん ページ7
A「…うらたさん、別れよう？」
2人並んでソファーに座って、そんな暖かい休日の昼下がり。私は静かな部屋に一言こぼした。
うらた「A〜、そういう冗談はよくな……本気で言ってんの？」
スマホに目を向けていた彼はいつも通り返すけれど、俯く私の方に顔を向けて、どうやら冗談ではないと気づいたらしい。
A「うん、」
うらた「……はあ、、」
心なしか緊張感が溢れるこの部屋で、彼の大きなため息が響く。それにびくっと身体を強張らせた私はやはり、彼にとってちっぽけな存在だったのかもしれない。
うらた「A、」
A「…っ、」
うらた「誰に何言われた？」
ソファの上に置いた私の手に、彼の手が重なって、落ち着いた声で問われる。どきりとしたその質問は、図星だ。
A「いや、別に……嫌いに、なりました。」
うらた「嘘。」
A「っ！」
彼の空いたもう片方の手は、私の顔を横に向かせて、彼の顔が強制的に視界に入る。その力は強くて、でもどこか優しかった。
うらた「じゃあなんでここにいんの？」
A「……」
うらた「なんで離れねえの？」
A「っ、」
うらた「なんで泣いてんの？」
A「…ちがっ、」
気づかないうちに流れていた涙を、彼の言葉で認識して、急いで袖で拭う。だけどそれは、彼の手によって簡単に遮られてしまった。
うらた「バレるよ、そんな嘘。」
A「…うっ、」
小さな嗚咽が漏れた時、彼の指は優しく私の涙を拭う。なんでこうも、あなたには簡単に分かってしまうの。
うらた「それで？なんでそんなこと言い出したわけ？」
A「……」
軽く俯いていた顔をゆっくりと上げて、彼の目を見てみるとそれは真剣そのもので。普段はよくふざけるのに、こういう時はやけに真面目になるものだからこちらの方が呆気にとられてしまう。今も例外なく。
うらた「Aが本気で別れたいって言ってんなら考える。でもそうじゃないならちゃんと話して。」
私が作り出してしまったであろう沈黙の中に、彼の落ち着いた声が響く。重なっていた手はいつの間にか握られていて、さらに力が加わるのがわかった。
A「……」
うらた「…はあ、」
何も言わない私のせいで相変わらず沈黙の部屋。再び彼のため息が聞こえた。ああ、困らせているんだと思う。
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いちご丸 - キヨさんの続きは！？ (9月23日 0時) (
レス) @page23 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
りーな(プロフ) - 文才凄いですね！？天才ですか！？坂田さんので泣きました(ガチです 更新頑張ってください！！ (2022年11月14日 8時) (レス) @page23 id: 58a7f79ac7 (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - キヨさんのだけでも投稿して貰えないですかね…？めちゃくちゃ続き気になってます…！ (2021年7月17日 21時) (レス) id: d40f4a1ac2 (このIDを非表示/違反報告)
田舎女子 - キヨさんの続きめっちゃ気になります！！よければ、更新してほしいです！ (2021年6月5日 16時) (レス) id: 67e9a9c4e5 (このIDを非表示/違反報告)
瑞姫(プロフ) - キヨの話の続きがとても気になります！更新はもうされないのですか？(T_T) (2020年11月12日 7時) (レス) id: ec711c6353 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のの | 作成日時：2018年5月31日 18時
