【歌/い/手】夢を捨てて夢を叶える【男主】 (ページ1)

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捨てるもの、いっこページ1

僕が生まれた家は、周りに比べれば裕福で恵まれていたんだと思う。兄弟はいたけど、疎かにされたことも無い。とっても、優しい、家族。

けど、優しさは時に毒だ。と、僕は思う。

両親は僕のためだからと、色々な習い事をさせた。塾に水泳、ピアノ、英会話、習字、剣道、空手。兄弟達も、僕と同じように多くの習い事をして、文句もなくやりこなしていた。

遊ぶ時間より、習い事。

両親は僕に色んな習い事をさせる時に、決まって同じことを告げる。

「全部、あなた(お前)のためを思って。」

紛うことなき、両親の本心。
でもそれは、僕にとっては毒のような、鎖のようなものにしか見えなかった。

立派な大人になりなさい。

何を持って立派というのか。
僕には、わからないでいた。

中学に上がって、ひとつのものと出会った。

ニコニコ動画と言われる、たくさんの人が気軽に動画を投稿できるサイトだ。
そしてそこで、歌い手と呼ばれる人達を知った。

自由に歌って、奏でる。それはどんなに素敵なことか。

人に夢や勇気を与えれる。ワンクリックで、世界が広がる。それはどんなに、素晴らしいだろう。

やっと、夢といえるようなものを見つけた。