第10話「突然の報告」 ページ10
その報告は突然だった。
「やめるの?いつ?」
「2週間後だ」
車椅子のアーティが訊くと、シュー先生は真剣な面持ちで言った。
「優秀な後任をつけておくよ」
「カーメル高校に勝てるよう頑張るのに」
「シュー先生でなきゃムリです」
メルセデスとレイチェルの発言に、私は頷くことしかできなかった。
「じゃ、僕はもう抜けていいってこと?」
フィンが言うと、全員彼の方を向いて目で訴えた。
このタイミングでそれを言うなんて。
「君たちのせいじゃない。大人になると時々、好きなことを諦めなきゃいけない時もある」
「諦めるだなんて、そんな」
「いつか君たちにも分かる」
私の言葉を遮るように、シュー先生は言った。
「君たちの顧問になれて楽しかった」
シュー先生はそう言い残すと、私たちに背を向けて講堂を出ていった。
気付いたら涙が溢れていた。
メルセデスとカートが私に寄り添い、肩を寄せてくれた。
出会って間もない先生に感情移入して泣くなんておかしなことだけど、
でもそれだけ、この短い期間が長く感じられた。
本当に楽しかった。
「続けるわよ、私達だけで」
ムキになって言うレイチェルの表情も、どこか切なそうだった。
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暗黒の波動(プロフ) - 朝比奈さん» 返信遅れて申し訳ないです。 とても嬉しいコメントありがとうございます!!時間がある時に更新していきたいと思いますので、気長に待っていただけると有りがたいです^^ (2018年4月3日 22時) (レス) id: 229c8db531 (このIDを非表示/違反報告)
朝比奈(プロフ) - 読ませていただきました!続きが気になります…! (2018年3月29日 5時) (レス) id: 8eec1a6356 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 更新お願いします! (2016年9月3日 13時) (レス) id: 1f3a169325 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暗黒の波動 | 作成日時:2016年5月5日 21時