【歌い手】ひ と り ぼ っ ち 解 消 法 。【シェアハウス】

にじゅうはち ページ28

私がその手をとった後、Souくんは急に顔を赤くした。

貴「風邪？」

S「違うよ。ただ…１回一線を越えた相手ともう一回最初からって、むず痒いなぁって。」

確かに。

あぁ、そう考えると恥ずかしくなってきた。

でも、なんかホッとした。

貴「ありがとね。チャンスくれて。」

私が目を見て、笑顔で言うと、Souくんが困った顔をしながら頷いた。

また私は首を傾げる。

すると、Souくんは私を心配するような目で急に話し出した。

S「Aはさ、学生の時からそうだけど、結構注目を浴びやすい。

普段普通にしてても、ふとした瞬間…急にその才能が発揮されちゃうとこがあるみたい。

それで、恋に落ちちゃう人とかいるから…。

Aが無自覚だから、余計に危険。

それ、いつか痛い目見るから、気をつけた方がいいよ。」

なんか、神妙な面持ち…だけど。

ごめん、全然わかんない。

貴「よく分かんないけど…頑張る！」

とりあえずガッツポーズして相手に笑いかけた。


S「(そういうところだよ…

Aは知らないかもしれないけど…有栖川の影って妹さんなんだよ？

普段は光を受けている人が、舞台に立つと前に立つ大きな存在で暗い影になってしまうって。

どれだけ愛されて日を受けていても、舞台では影って意味で、妹さんが影って言われてる。

その前に立つ大きな存在ってのがA…。なんだけど、未だに勘違いしてる人が絶えないんだよなぁ)」





Souくんは何が言いたげだったけど、そのまま部屋を出た。

そこには、不安そうな顔をしたまふくんがいた。

ま「A！仲直りできた？」

S「えへへ、見ての通りだよ！」

貴「お騒がせしました…」

Souくんが自慢げに手を繋いでピースする横で私は頭を下げる。

まふくんはいえいえ。と微笑んで、その後「でも」と不満げに声を零した。

ま「これでまた、ライバルが一人増えた…のかな。」

貴「ライバル？」

ま「なーんでもないっ！Souくん！独り占めはダメだからね！」

私が首を傾げるとまふくんはニッコリと笑った。

不思議な人だ。

ま、Souくんとも仲良くなれたし、今後が楽しみだなぁ。

あ、そうだ。今日の夜はまふくんと何しよう。

明日は96ちゃんとろんちゃんとれをるちゃんとゲームするんだった。

明日の朝ごはんは何かな。

考えれば考えるほどに楽しみなことが溢れ出てくる。

……その分、ふとした時に思い出す失う恐怖が大きくなるのだけど。

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