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「A」
聞き慣れた、大好きな声が、聞こえる。夢にしてははっきりと。でも現実にしては距離を感じる。
「A」
「ほんとに、ごめん。」
やだ、そんな謝らないで。
ドラマもあるし、雑誌だってラジオだってある。
忙しいのなんて、痛いくらい分かってる。
「俺...Aの彼氏失格だ...」
違うよ。
本当は私が一番彼を理解してなきゃいけないのに。
我儘ばかりで。迷惑掛けてばかりで。
「A、」
泣きそうな、彼の声が部屋に響く。
つらつらと並べた心の声は一向に外に出てくれなくて、私は啜り泣く声でしか返せない。
「俺、ちゃんとするから。」
「Aに、笑っててほしいから。」
「もう、寂しい思いなんてさせないから。」
しばしの沈黙
彼の、深い深呼吸の後
「一緒に、住もう。」
今まで私を埋め尽くしていた悲しみとか、不安とか、申し訳なさとか、色んな感情が、全て、停止した。
彼の言葉が信じられなくて、私はそっと被っていた布団を持ち上げた。
いきなり視界に入ってきた光が眩しくて、でもそんな事より二ヶ月ぶりの彼の方が眩しくて。
『ま...くん』
驚きで止まった涙
ぼやけた目を擦ってもう一度彼を見る。
優しく笑う彼が、私を、私だけを見てる。
なんだか、夢みたい。
「おいで」
眩し過ぎるくらいの笑顔
こてん、と首を傾けた貴方が私に手を伸ばす。
まるで、歩ける様になったばかりの子供を少し先で見守るパパみたいに。
私がその胸に飛び込むと、貴方は優しく笑って、
「好きだよ」
って、一言囁いた。
end.
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ウタ(プロフ) - 愛梨さん» ありがとうございます！とても嬉しいです。励みになります。これからもマイペースに頑張ります！ (2020年1月5日 18時) (
レス) id: 2132398f2b (このIDを非表示/違反報告)
愛梨 - はじめまして。どのお話もとーっても面白くて大好きです。更新大変だとは思いますが頑張ってください。応援してます。 (2020年1月5日 14時) (レス) id: f7e12740e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウタ | 作成日時：2019年1月31日 21時
