おとぎ話 /mj ページ28
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『おかえり』
「ただいま」
目深に被った帽子を取りカウンターに置く右手を、私はソファーに腰掛けながら眺めた。
乱れた髪をかき上げるその姿は、何度見ても息を呑むほどに美しい。
『お疲れ様。遅かったね。お風呂先入る？』
「うん、だいぶ押した。いや、飯先で良いよ」
『分かった、すぐ用意するね』
腕時計を外す彼の後ろを通り過ぎ、私はキッチンで作り置きの夕飯を温め直す。自分でも未だ信じられないが、これがルーティンとなってしまった。
松本潤の彼女になって早2年
今日も、驚く程に彼のことが好きだ。
「今日何してたの」
冷蔵庫へお酒を取りに来た潤くんが私に尋ねる。
『えっと、掃除して、買い物行って、録画してた潤くんのテレビ見て、ご飯作って、って感じかな』
「ああ、あれ見たんだ (笑)」
『うん、一人で涙流して笑っちゃった』
鍋の中身を後ろから覗きながら、私の話にクスクスと笑う彼は心底可愛らしい。
こんなにクールな見た目の男性に可愛らしいという言葉が正しいのかは分からないが、可愛らしい以外の言葉はいつまで経っても見つかりそうにない。
「うまそう、」
『潤くんが朝食べたいって言ってたから作っちゃった』
「ふふ、超嬉しい。」
今、目を細めニコニコしている彼のこの表情を、私が独り占めしていると思うとまだ不思議な感覚がする。
こちらまで釣られて笑ってしまいそうになるのをグッと堪えて、料理を皿へと盛り付ける。すると突然、背中に温もりを感じた。
『えっ、？』
これは、世に言うバックハグだ。
彼の腕が私のお腹へと回り、私の肩に彼の頭が預けられる。
『…潤くん？』
あまりの突然さに驚きと胸の高鳴りで動けない私の耳元で、そっと潤くんが囁いた。
「ごめん、急にどうしても触れたくなった」
少し掠れた声は、私の胸をギュッと締め付ける。
好き過ぎて辛い、とはよく言ったものだ。まさに今、私は彼の事が好き過ぎて辛い。
「あー、好きだわ。すっげぇ好き。」
「もうちょっとだけ抱き締めさせて」
この胸の鼓動に彼は気付いてないのだろうか？それとも気付いていながらそんな台詞を？
色々と思うことはあるが、全部ひっくるめて、私が彼に言いたい事なんて一つだけ。
『潤くん』
『今日も大好きだよ』
end.
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ウタ(プロフ) - 愛梨さん» ありがとうございます！とても嬉しいです。励みになります。これからもマイペースに頑張ります！ (2020年1月5日 18時) (
レス) id: 2132398f2b (このIDを非表示/違反報告)
愛梨 - はじめまして。どのお話もとーっても面白くて大好きです。更新大変だとは思いますが頑張ってください。応援してます。 (2020年1月5日 14時) (レス) id: f7e12740e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウタ | 作成日時：2019年1月31日 21時
