甘い罠 /nk ページ19
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リビングから聴こえる機械音で私は目を覚ました。
ベッドから起き上がる時に感じた腰の痛みが昨夜の記憶を思い起こさせ、ぽっと顔の温度を上げる。
「おはよ、」
寝室の扉を開け目を細める私に、彼は騒がしい画面から目を離すことなく甘く掠れた声で言った。
『おはよ…朝からゲーム？』
「眠気覚ましの。」
『…へぇ。』
私の反応が気に食わなかったのか、スマホの電源を落としソファから立ち上がる。
彼はあまりの切り替えの速さに驚く私を笑って、
「お前も眠気覚ましした方がいいんじゃねぇの」
なんて言って、少し強引に唇を重ねた。
『…珍し』
「何が」
『ちょっとキュンとした』
「は、いつもキュンキュンしてんだろ」
『いやだって和いつもムードも何も無いじゃん』
「俺はムードなんか作んなくなって女の子堕とせちゃうだよな、これが。」
『……へぇ。』
和の怒る顔を思い浮かべながら、私は彼に背を向ける。
そのままキッチンへと向かい冷蔵庫から水を取り出し一口飲んだ。
あれ？おかしい。
私の予想では追い掛けてきた彼とここで言い合いになるはず、なのに。一切追い掛けてくる気配の無い彼をふと疑問に思いリビングへ戻る。
『和？』
「何」
そこにはさっきと同じ体制でゲームをする彼。心做しか怒ったような表情にも見える。
少し不安になった私は隣に座り、彼の顔を覗き込むようにして話した。
『怒ってる？』
「何で」
『顔に書いてる』
「別に怒ってねぇよ」
『嘘、そうやって言う時和いつも怒ってる』
ねぇ、聞いてる？
そう言って彼の肩へ手を伸ばしたその時。
スマホへ伸ばされていたはずの彼の手が、私の手をぐっと掴んでそのまま後ろに押し倒した。
彼との距離、僅か数ミリ。
『ちょ…っ』
「自ら檻に入って来といてその反応かよ(笑)」
『…はい？』
「押してダメなら引いてみな、ってやつ。」
悔しいけれど、どうやら私はまんまと彼の罠にハマってしまったらしい。
「さて。こっからどうする？」
にやりと上がった口角
抜け出せない、甘い罠。
end.
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ウタ(プロフ) - 愛梨さん» ありがとうございます！とても嬉しいです。励みになります。これからもマイペースに頑張ります！ (2020年1月5日 18時) (
レス) id: 2132398f2b (このIDを非表示/違反報告)
愛梨 - はじめまして。どのお話もとーっても面白くて大好きです。更新大変だとは思いますが頑張ってください。応援してます。 (2020年1月5日 14時) (レス) id: f7e12740e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウタ | 作成日時：2019年1月31日 21時
