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sideーut
Aちゃんの母から借りた浴衣に袖を通し、軽く着付けを済ませる。ネットで調べた通りにやってみたら案外出来るもので、必要なものを手に取りそのまま隣にあるAちゃんの家へ向かった
インターホンを鳴らすと、家の中から話し声と足音がして、少し経ってから玄関の扉が開く
「お待たせ、！」
ut「………めっちゃ可愛い、え、行かせたくないねんけど、」
「そ、それは言いすぎだから！早く行くよ！」
いつものように流されてしまったけど、頬の赤みが感情をあらわにしてくれている
ほんまに可愛ええねん、纏めあげられた黒髪に青い浴衣がよう映える。可愛ええし綺麗
祭り会場までは少し時間がある。2人で並んで歩くいつもの道も、下駄の音、遠くの方で聞こえる祭囃子、些細な変化によって別の道のように思えてくる
「さっきは言えなかったけど、浴衣、すごい似合ってるね」
ut「ほんま？母さんには「アンタには勿体ない」って言われてん！やっぱAちゃんは優しいわ！」
「思ったこと言っただけだよ？ほんとに似合ってるし、かっこいいもん」
少しふざけてみたつもりが真正面からまともに返され、しかも内容が褒め言葉と来た
俺が恥ずかしがってどうすんねん…けど、カッコイイって言ってもろた…！
そんな喜びをかみ締めながら歩いていると、やがて祭り会場へとたどり着く。大きな祭りとだけあって屋台が立ち並ぶ中、多くの人で賑わっている
はぐれないようにと考えていると、小さな手が先に俺の手を包み込んだ
「これならはぐれないよ」
可愛い可愛い他意のない笑みに些か罪悪感は込み上げたものの、指を絡めて恋人繋ぎに変える
ut「こっちのが安全やんな」
意地悪く笑ってみせると、むっとした表情を浮かべつつもそっと握り返してくれた
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作者名：椿 | 作成日時：2021年5月10日 0時
