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sideーA
「鬱くん、かえろ」
ut「Aちゃん、わざわざ来てくれたん？ありがと」
放課後になり、人の波に逆らって隣のクラスまでやってきた。私を視認するや否や封筒らしきものをカバンに押し込む鬱くん、あれ、何かな
「お手紙もらったの？」
ut「ん、あー…引き出しに入っとったんよ、直接言いに来ればええのに」
「女の子は難しい生き物なんだよ、そういうこと言っちゃだめ！」
ぐっと押し黙ると、気まずそうな顔をしながらカバンから封筒を取り出した。少し折れ目がついてしまったけど、可愛らしいハートのシールで封がされている
「ラブレターかな、鬱くんモテモテだね」
ut「うーん…差出人見るにC組の子やんな…俺そんな関わった覚えないんやけど…」
「自分は知らずとも、相手は知ってるとかあるし、鬱くんは人気者だから仕方ないよ」
私が引っ越してきた時もそう、鬱くんは優しくて、緊張して上手く話せなかった私にも、グイグイと話しかけてくれた
女の子からの人気、結構高いんだよね。封筒をまじまじと眺める鬱くんは、ハッとした顔で声を出す
ut「…思い出した、この前1回だけ話したことあるわこの子」
「流石、女の子のことはよく覚えてるね」
ut「1番はAちゃんなんやって！これはマジで変わらへん！」
「はいはい、ちゃんとお家で読んでお返事しなきゃダメだからね」
私も1番の友達は鬱くんだけど、鬱くんはどうして私に沢山優しくしてくれるのかな。綺麗な女の子とかいっぱいいるのに
聞いたら、答えてくれるかなぁ…はぐらかされちゃいそう…
ut「…ちゃん、Aちゃん」
「あ、ぇ、と…どうしたの？」
ut「ぼーっとしとったから…大丈夫？」
「だ、大丈夫、ちょっと考え事、！」
今もうちょっとだけ、黙って甘えていたいかな
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作者名：椿 | 作成日時：2021年5月10日 0時
