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どうして。
どうして私は、生徒なんだろう。
「...すき、」
『、ん?』
「...好き、です。先生のこと、」
思わず、溢れ出てしまった。
先生の顔を見上げるようにして、そう零した。
大きく目を見開いた先生。
すき、と言ってしまった後になって
自分の顔が燃えるように熱くなっている様に
感じた。
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『ありがとう。でも、ごめんな...』
困った様に笑う先生の顔が目の前に広がる。
その後に続く言葉を簡単に予測出来ることに苦しくなった。
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それは、大人に対する憧れから生まれたものだ。
教師を好きなる。
それは本当の恋じゃないって、どこの誰だか分からない大人が言っていた。
"教師と生徒"
誰かが勝手に決めつけた
よく分からない決まりによって
今日もどこかの小さな恋心が儚く散っていく。
そして、今、私のものが散っていった。
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「あ、の、」
きっと、叶うことはないと、この気持ちを持ち始めた時、分かっていたのだと思う。
ただ、見ているだけで良い。
恋をする楽しさもかなしさも、
全部自分の中だけで留めて。
行き場のない、どうしようもない気持ちに気づかれてしまったら、何もかもが終わってしまう気がした。
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あい(プロフ) - ひまぽんさん» ひまぽんさん、コメントありがとうございます* 。続編などは少し検討させて頂きますね、これからも宜しくお願いします...! (2019年3月25日 0時) (レス) id: 0f506228be (このIDを非表示/違反報告)
ひまぽん(プロフ) - 龍我くんの話の続きが読んでみたいです。那須くんサイドの話も読んでみたくなりました。他の作品も楽しみにしています。 (2019年3月25日 0時) (レス) id: aeeb4a860b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あい | 作成日時:2018年9月9日 21時