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「え、な、なに。どうしたの。」


一向に動こうとしない彼に不安になる。


「……………………き、」


ほぼ息の声が小さく耳に届く。

……き?


「…………筋肉、痛…」

「え"」


え?

頭が一瞬真っ白になる。

え?筋肉痛?

原因は1つしかない。

その事を理解した瞬間ジワジワと笑いが込み上げてきて、僕はぶはっとつい吹き出してしまった。


「わら、笑わないでください……っ」
「いやだって、ふふっ、筋肉痛…君普段どれだけ動いて無いの?」


堪らず僕は声を上げて笑った。

だって僕、そんなのなったことない。


「うぅ…だって、だって……!」


羞恥からか筋肉痛の痛みからか涙目になりながらこちらに訴えかけてくる可愛すぎる僕のSub。

僕は腰に負担をかけないようゆっくりとベットから降り、床に座り込んだままのAと視線を合わせて手を握る。


「……一緒に行こ。」
「作ってくれるんでしょ、フレンチトースト。」
「……!」


一瞬で水晶のように輝く瞳と目が合った。

花が咲くような効果音でもつきそうなほど綻んだ笑顔。

かわいい。

好き、大好き。

僕も、好きだよ。

素直に口に出来ないその言葉を、心の中で反芻する。

震えるこの手からこぼれ落ちてしまわないよう、強ばるこの体で潰してしまわないよう、

大切に、大切に反芻する。


愛するとは、

僕には難儀な事だと思う。


僕は君みたいに愛に器用じゃない。

ずっと昔から不器用で、自分を含めた誰のことも愛すことが出来なかった。

僕は君みたいに真っ直ぐな人間じゃない。

捻くれ者で、直ぐに毒を吐く面倒臭い人間だ。

僕は君みたいに素直じゃない。

愛も知らない僕は、心も貧乏だ。

到底君みたいに上手くこなせることは出来ない。


でもきっと"難儀"は"不可能"じゃない。

僕はそう信じている。

このどん底の人生から這い上がるのは"難儀"だと思う。

でも僕は絶対にこの生活から抜け出してやると命に誓っている。

…だからきっと"不可能"じゃないのだ。

"不可能"で終わらせたくは無いのだ。


僕は思う。


僕も、君が僕にしてくれるように、君を抱き締めたい。

同じように君を満たしたい。

どうかずっと隣にいさせて欲しい。

こんなに好きになってしまった、

狂おしいほどに愛しい君を、

心から愛してしまいたい。


___と、そう思う。










___fin.

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白帽子(プロフ) - 田中さん» コメントありがとうございます。おかげで更新頑張れます…! (3月12日 6時) (レス) id: f1b6561477 (このIDを非表示/違反報告)
田中(プロフ) - とても好きです♡これからも更新待ってます♡ (3月12日 1時) (レス) id: d3ff0093eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白帽子 | 作成日時:2024年2月19日 21時

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