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僕は、Dom性に目覚めた頃からビジネスパートナーとの死なないための、最低限のplayしか望まなかった。
しかし、1度だけ、とは言っても事故のようなものだけど、1度だけSub spaceに入られたことがある。
その時は、人間の、他人の全てが、僕の手中にあった。
Domとしての僕は、その事に歓喜し、酔いしれた。
しかし"僕"は、その事を恐れ、唖然とした。
どうすれば良いのか分からなかった。
今までの人生、自分で自分をコントロールすることがあっても、他人をどうこうすることなんてなかったから、尚更。
…結局、僕はSubを上手くコントロール出来ず、一瞬でSub dropに陥らせてしまうほど追い詰めていた。
僕は、Domとして最悪だと思う。
「僕はきっと君の全てを満たしてあげられないよ。」
これは文字通り、「君の全て」
Subである君も、鍼灸師である君も、尽くしたがりな君も、そのどれも、僕は上手く愛すことができないと思う。
…僕は空っぽな人間だから。
「…折角相性はいいんだ。このままの関係にしておいた方が気持ちいいことだけ感じられる。……きっと。」
ああ、最低。
ほんとに最低。
出来損ないの癖に一丁前にsubを裏切ってしまう事にdomの本能として罪悪感を感じている。
ギリギリと頭が痛む。
気持ち悪い、吐きそうだ。
「君のため」なんて偽善甚だしい。
…本当は自分がただ臆病なだけなのに。
「……キャンベルさん」
彼の穏やかな声。
いつもは落ち着く声だけど、今は聞くほど胸が締め付けられて、痛い。
「……それでも、」
「俺は貴方がいい。」
「…」
…なんで、
「…好きなんです、本当に、貴方のことが。」
「……」
…
「……なんで…っ」
そんなに、思ってくれるの?
君みたいな恵まれた人間が、僕なんかのこと。
「…貴方の人生が、幸せなことばかりで溢れるよう願っています。」
「そして、あわよくばその幸せの中に俺も共に居られたら…と、そう思っています。」
後ろから抱き寄せられる。
…抱きしめられている。
こんな事で心の空っぽの部分が満たされてしまうことが、悔しかった。
今までの人生、どんなにどんなに足掻いても埋まらなかった僕の心の空洞を、君はその腕1つで埋めて見せた。
それが堪らなく悔しかった。
…本当は僕だって、君が好き。
「……、もう…わか、んないよ……」
「………………いいよ……」
「………もう好きにして……君の……」
…君の
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白帽子(プロフ) - 田中さん» コメントありがとうございます。おかげで更新頑張れます…! (3月12日 6時) (レス) id: f1b6561477 (このIDを非表示/違反報告)
田中(プロフ) - とても好きです♡これからも更新待ってます♡ (3月12日 1時) (レス) id: d3ff0093eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白帽子 | 作成日時:2024年2月19日 21時